Chez Onji (シェ オンジ)


投稿:2012.05.25
【延岡・日向エリア】 【グルメ】 【フレンチ】

フランス料理の伝統と文化を尊重しつつ、最新技術を取り入れ美味しさを進化させたい!シックなボルドーレッドが印象的な大人の空間。

Chez Onji・イメージ

 フランス料理は、17世紀~18世紀にかけてルイ王朝時代に盛んになった宮廷料理が、フランス革命によって一般に流れ、美食文化が全土に広まり確率された歴史と伝統のある料理。その豪華絢爛なイメージは長い年月をかけて世界中の人々に浸透し、現代においても、世界各国の宮廷晩餐や正餐、そして大切な人と贅沢なひとときを過ごすのに欠かせない存在として、世界の食の中心的存在としてとらえられています。
 さて、今回のグルメレポートでは、そんなフランス料理の伝統と文化を尊重しつつ、さらに近代技術を駆使し美味しさを進化させた本格フランス料理を、シックなボルドーレッドが印象的な、落ち着いた大人ので堪能できるフレンチレストラン『Chez Onji(シェオンジ)』をご紹介します。

Chez Onji・西園寺シェフChez Onji・店内

 以前、宮崎県延岡市の国道218号線「北小路」に店舗があったのをご存じの方も多いことと思いますが、2011年2月、延岡郵便局南側「本町」に移転されました。また内容も一新され、当時はフランス家庭料理をベースにしたメニューを中心に、気軽にフランス料理を楽しめる「ビストロ」系だったものを、現在はがらりとコンセプトを変え、フランス料理の伝統を基本とした「本格フランス料理」に焦点を絞り再スタートされています。
 ちなみに以下レポートでは、最新おすすめディナーメニューの紹介と合わせて、オーナーシェフである西園寺貴之さん(上)に、前店舗取材時にはお聞きできなかったフランス料理への熱い思いや、新店舗におけるコンセプト変更のいきさつなど詳しくお聞きしました。 
(レポート:中本望美)

Chez Onji

住所:宮崎県延岡市本町1丁目3-8(延岡郵便局南側)
電話:0982-33-0301
営業時間
・Lunch11:30~14:30(L.O.13:30)
・Dinner18:00~L.O.9:00
定休日:日曜日
URL:http://www.chezonji.com

 

店舗周辺マップ

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ボルドーレッドを基調としたインテリアが印象的な店内

Chez Onji・店舗外観

 風格のあるレンガ造りの外壁にあしらわれた大きな窓が印象的な店舗外観。まるでヨーロッパの一角を思わせるような雰囲気に溢れています。

Chez Onji・入り口Chez Onji・プレート

 磨き抜かれたダークブラウンの床の上には、西園寺オーナーお気に入りの「ボルドーレッド」であしらわれたパーティションやイスなどがならび、

Chez Onji・店内

Chez Onji・店内

 窓から降り注ぐ柔らかな光とのコントラストが、気品溢れる特別な空間を感じさせてくれます。

Chez Onji・店内Chez Onji・店内

 また奥のスペースは仕切ることもでき、まわりを気にせず、特別な空間を独占しながらゆっくりと食事を楽しめる様になっています。

Chez Onji・カウンター

 カウンターから見える厨房の壁にはぶどうの葉っぱを思わせるような形をした鮮やかなグリーンがテンポ良く配色されていて、

Chez Onji・厨房

 シェフがお料理を準備する様子をお洒落な気分で伺うことができます。

Chez Onji ナイフ・フォークレスト

▲オリジナルのナイフ・フォークレスト

Chez Onji・インテリアChez Onji・インテリア

Chez Onji・インテリアChez Onji・インテリア

Chez Onji・イメージChez Onji・イメージ

 

おすすめディナーコース  5,250円

Chez Onji・おすすめディナーコース

 

アミューズ/帆立のキャラメルゼ クスクスのサラダ仕立て

Chez Onji・アミューズ/帆立のキャラメルゼ クスクスのサラダ仕立てChez Onji・アミューズ/帆立のキャラメルゼ クスクスのサラダ仕立て

▲ほんのりとした甘みを持つフレッシュな帆立に、フランスの『カソナード(ブラウンシュガー)』のキャラメルで柔らかな苦味をプラスすることで、帆立ならではの旨味をいっそう際だたせ、さらにクスクスのづぶつぶとした口当たりと、グリーンソースのまろやかさが絶妙に絡み合い、美味しさだけでなく、歯ごたえや舌触りの楽しさが演出されています。

 

オードブル/ブレス鶏とEM豚のテリーヌ

Chez Onji・オードブル/ブレス鶏とEM豚のテリーヌChez Onji・オードブル/ブレス鶏とEM豚のテリーヌ

▲フランスのブレス地方で、「自然飼料のみ使用」「草地での放し飼い」などの数々の基準をクリアした環境の中で飼育された『ブレス鶏』と、乳酸菌や酵母などの有効微生物を培養した『EM』という液を飼料や飲料水にまぜ、豚の健康に気遣って飼育された『EM豚』を、惜しみなく融合させた豪華な一品。ブレス鶏は、それだけでジューシーかつ旨味が凝縮されていて味わい深く、パテはフォアグラや野菜なども使用して約2週間ほどかけて作られた贅沢品。マスタードソースがよりいっそう深みを与えてくれます。

 

スープ/カリフラワーのクリームスープ カレー風味

Chez Onji・スープ/カリフラワーのクリームスープ カレー風味Chez Onji・スープ/カリフラワーのクリームスープ カレー風味

▲カリフラワーの甘みが極限まで引き出され、クリームのコクと、カレーの香ばしい風味がマッチしたスープ。ちなみにフランスに置けるスープの位置づけは、「飲み物」ではなく「食べ物」であり、スプーンですくったものをズズッと「吸う」のではなく、パクっとひとくちに頬張って「食べる」事がマナーの1つと言われています。上品な女性はスプーンを口に入れる事を「恥ずかしい」と思われるかもしれませんが、フランス料理のフルコースを頂く時にだけはマナーを尊厳して、スープを「食べて」味わってみて下さい。軽く租借すると、よりいっそう食材やスパイスのおいしさを実感出来ますよ♪

 

魚料理/真鯛とエビのソテー ピスタチオ風味

Chez Onji・魚料理/真鯛とエビのソテー ピスタチオ風味Chez Onji・魚料理/真鯛とエビのソテー ピスタチオ風味

▲肉厚の真鯛を厚めに切り、ピスタチオのスパイスをたっぷりまぶして皮をパリッと焼き上げたソテー。白身魚特有のあっさりした味わいと、ナッツのコクとクリーミィなソースがひとつになると、濃厚なのにしつこくない、そしてパリパリなのになめらかな、不思議なハーモニーを醸し出してくれます。また、添えられた野菜は「アスパラソバージュ」といわれるフランスの山に自生する春の野菜。春先のほんの一時期にしか手に入らないとても貴重な食材なのだとか。ソースをたっぷりつけてお召し上がり下さい♪

 

肉料理/牛フィレとフォアグラのポテト包み 赤ワインソース

Chez Onji・肉料理/牛フィレとフォアグラのポテト包み 赤ワインソースChez Onji・肉料理/牛フィレとフォアグラのポテト包み 赤ワインソース

▲かわいらしい玉葱のような形のお料理が、お皿にコロンと盛りつけられたメインディッシュ。「この中には何が詰まっているのだろう」「これを開くと何が起こるのだろう」とワクワクしながらナイフをいれると、パリっという軽快な音の次に、ずっしりとした重厚な感覚が手に伝わります。中にはうっすらと赤みが混じったピンク色の牛フィレが、そして中央にはなんとフォアグラが詰まっているではありませんか!ポテトのシャクっとした歯ごたえに、牛肉の旨味成分が口の中に溢れ、さらにクリーミィなフォアグラが口の中で溶け出し、最後に赤ワインの香りが抜けていく……。なんと贅沢な一口でしょう!なんといっても素晴らしいのは、ポテトがそれぞれの素材の旨味を包みこみ、絡めとるので、美味しさの取りこぼしがないところ!また、お皿の周囲に散りばめられてのは、スペイン産の『ブラックソルト』。濃い塩味の中に、旨味と少しの苦みを含んでおり、ソースだけでなく、こちらのブラックソルトも合わせながら頂くのもおススメ!他では味わえない一品です♪

 

自家製オリジナルパン

Chez Onji・自家製オリジナルパン

▲上質なオリーブオイルと、酸味のあるバルサミコ酢と一緒にお料理と合わせて頂きます。創業以来、シンプルで素朴な味わいがお料理ともマッチし、ちょうど良い大きさで食べやすい事から人気をあつめ、このパンを目当てにランチやコースを食べられる方も少なくありません。月日をかけて変わって行くお料理の進化に合わせて少しずつ配合を変えているそうで、「変わらない」と感じさせる範囲でおこなわれる微妙なマイナーチェンジこそが、ファンを引きつけているポイントなのでしょうね☆

 

バニラのパンナコッタ、ヨーグルトアイス、イチゴのパウダーアイス

Chez Onji・イチゴのパウダーアイスのカクテル パウダーチョコレートと生ハムの薫製を添えてChez Onji・イチゴのパウダーアイスのカクテル パウダーチョコレートと生ハムの薫製を添えて

▲中でも印象的だったのがスプーンに盛られた「パウダーチョコ」。特別製法で作られたパウダーチョコは、他店での取り扱いがほとんどありません。そのままパクッと口へ運ぶと、チョコレートがジュワッと溶け出し、さらさらとした見た目とは裏腹に、濃厚でしっかりした甘さが口の中を駆け抜けるように広がっていきます。今までに経験のない新感覚チョコレートです☆

Chez Onji・デザート/バニラのパンナコッタ、ヨーグルトアイス、イチゴのパウダーアイスのカクテル パウダーチョコレートと生ハムの薫製を添えて

▲さらに面白いのが、ほんのり甘味を感じる生ハムの薫製!デザートながら生ハム自体の塩加減も残されているのでワインのおつまみにもなります。また、不思議な味わいに挑戦したい方は、生ハムにパウダーチョコをのせてたべてみてください。イメージがわかない方も多いとは思いますが、お菓子感覚でこれが意外といけるんですよ!

 

コーヒー

Chez Onji・コーヒー

▲食後は美味しいコーヒーをいただきながら、ゆったりと……。

 

インタビュー〜オーナーシェフ・西園寺貴之さん

Chez Onji・西園寺貴之さん

西園寺貴之さんのプロフィール

 26年ほど前、料理人を志しドラマの舞台にもなった有名老舗ホテルでフランス料理の修業を始める。
 その後、様々なレストランで経験を積み、12年前にイスラエルの日本大使館でシェフを務め、続いてアゼルバイジャン、フィンランドの日本大使館に勤める。日本大使館時代の式典やパーティ時は、400人を超える料理を手がける。
 6年前に帰国。2007年4月19日、延岡市は北小路に店舗オープン。現在は店舗を延岡市本町に移転。

 

 素材の味を生かす事は当然。さらに手間ひまかけて作品に仕上げたものこそ「フランス料理」だと思います。

 

Q:新店舗をオープンしたのはいつですか?

「昨年2011年2月23日です。前の北小路の店舗から合計すると5周年になります」

Q:なぜ移転されたのですか?

「前のお店は、国道に面した大きなガラス張りの明るい造りで、中から外の風景をみたり、外から中の様子がわかったり、ヨーロッパにあるようなビストロと言われる雰囲気を意識したのですが、お客様から開放的な雰囲気が苦手だというお声を頂く様になったことと、自分が伝統を大切にしたフランス料理本来の形に集中して料理をしたいという気持ちが大きくなったことから、思い切ってコンセプトを変えて、伝統的な本格フランス料理を追求しながら、お客様が料理だけに集中して優雅な時間を過ごせる『かくれ家』的なお店造りをしたいと思い移転を決めました」

Chez Onji・西園寺貴之さん

Q:イメージカラーとなっているボルドーレッドの使い方をはじめ、ダークブラウンの床やテーブルなどの重厚さや、グリーンをあしらった鮮やかな厨房やカウンターなど、空間づくりへのこだわりが増したように感じます。

「インテリアやディスプレイなどには前店舗以上にこだわりましたね……。特にボルドーレッドに関しては、自分が料理人を目指して勉強したり、海外でシェフをしながら様々な土地を見てまわったりした中で、自分が惹かれたワインの色を象徴するものだから大切にしたかったんです。カウンターから見る厨房風景にも自分なりにこだわりがあって、厨房に施した鮮やかなグリーンと、深みのあるボルドーレッドがお互いにその色の持つ良さを高め合い、その色彩の奥で、シェフが料理を作る姿が見えるよう、開口部の大きさや高さ、壁の高さや素材にも気をつかいました。料理が美味しいのはもとより、やはり足を運んでくださったお客様には、その場所でしか見られない『特別感』を持っていただきたいとの思いますし、なにより、自分が目指す、伝統を基本とするフランス料理を存分にご堪能いただくにためには、店内が醸し出す雰囲気がそれにマッチしていなければならないので、料理だけでなく店内のつくりにもこだわりました」

Q:ご自身が目指す「フランス料理」を詳しくお聞かせいただけますか?

「日本でもフランスやイタリアなどのレストランが増えて洋食文化が定着し、時代の流れとともに和食との掛け合わせや他の文化を取り入れた『創作料理』と言われる新しいジャンルが登場したことで、『フランス料理』『イタリア料理』『日本料理』といったジャンルの線引きが曖昧になってきたように思います。また、現代では、生産技術も向上し、流通もよくなった上に、『新鮮』『天然』といった良質な食材が豊富にそろうようになったことで、お刺身のような調味料をほとんど使わず素材自体が料理の大半を完成させている料理が多く存在します。しかし、フランス料理は何世紀も以前の、まだまだ流通が不便な時代に、鮮度の落ちた素材をいかにおいしく仕立てるか、また、貴族のためにいかにおいしい料理を作るかということを、当時の料理人たちが考え抜いて生み出した調理技術が基本となっています。だからこそ、何世紀にも渡って数々の名料理人達が守りつづけた伝統を大切にし、流通に恵まれた現代の素材に対して、素材だけの力に頼ることなく、もてる技術を最大限駆使し創造された料理こそが、現代のフランス料理だと考えています」

Q:『Chez Onji(シェオンジ)』の食材は、どのような基準でそろえていますか?

「以前は『地産地削』をテーマにしていたのですが、延岡市にいながら『本格フランス料理フルコース』を楽しめるように、地どれのものにこだわらず、フランス産を意識した現地の食材を取り入れています。たとえば、今日のコースにも使った『ブレス鶏』や、同じく厳しい条件をクリアして伝統的なと殺方法により肉質が赤く柔らかいのが特徴で鴨の最高ランクに位置づけられた『ビュルゴー家の鴨』、フランスブリュターニュで獲れたブルーが鮮やかな『ブリュターニュ オマールエビ』など、フランス料理界の中でも特徴的な食材を使う事で、いっそうランクアップさせたフランス料理を楽しんで頂けると思います。また、反対に、都心部や海外からのお客様などで、そのようなフルコースになじみのある方には、ここでしか食べられないような地元の食材を取り入れたフルコースを準備させていただいています」

Q:お客様の反応はいかがですか?

「ゆっくりと味わいながら、料理について会話をされる方が多くなり、他にも年配の方、ビジネスミーティングや接待などで利用される男性のお客様が増えてきました。以前と変わらずランチもご好評頂いております」

Chez Onji・西園寺貴之さん

Q:西園寺さんのシェフとしての喜びは?

「先ほども言いましたが、フランス料理の伝統を重んじながら新しい料理を創造する事です。素材の組み合わせを考えたり、調味料を変えたり、日々の料理が貴重な経験です。また、さまざまなジャンルの料理を食べ歩くことで得られる新たな感動を、フランス料理をより良い形で進化させるためにどのように活かしたらよいかを考えるのも楽しいです。そしてなにより、その料理をお客様が食べながら、形に驚いてみたり、組み合わせに驚いてみたり、試行錯誤したシェフの姿などを想像しながら、楽しそうに食事をされている姿を目にするのが一番の喜びです」

Q:これからの目標があればお聞かせ下さい。

「この店に来られる方が、『フランス料理』という文化にもっと理解を深めてもらえるよう工夫していきたいですね……。それとは別に、いつか、1日限定2組しか入れないような、こだわりに磨きをかけたスペシャルなお店を造ってみたいと思っています」

Chez Onji・西園寺貴之さん

お忙しい中、ありがとうございました。

 


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