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2005年12月01日
大相撲九州場所を振り返る [ 大相撲 ]
史上初の7連覇、年間完全優勝、年間最多の84勝――大相撲九州場所は朝青龍の偉業達成で終わった。実力と安定性、精神力などあらゆる面で朝青龍は飛び抜けた存在だ。ライバル不在で、優勝争いはつまらない状態になっている。
しかし、朝青龍をおびやかす若い力は徐々に大きくなっている(朝青龍も25歳と若いけど)。一番手が琴欧州。優勝争いに加わっていた名古屋場所、秋場所を思えば物足りなかったけど、大関の地位にまずは到達した。来年以降、他の力士も続くだろう。
朝青龍の絶対的強さと若い力の上昇を感じさせた九州場所を振り返ってみよう。
絶対横綱・朝青龍
今場所の朝青龍は初日から安定していた。最近は前半はあまり良くなくて、徐々にエンジンがかかる感じだった。先場所指摘された雑なところもあまりなかった。危ないなと思ったのは11日目の玉乃島戦と13日目の琴欧州ぐらいだ。しかし、玉乃島戦は土俵際に追い詰められながらもそこから攻め返す強さを見せた。琴欧州戦は立会いから相手十分の形で完敗だったけれど、最後まで勝負をあきらめない執念は相変わらずだった。
幕内力士のなかでは大きい方ではないけど、パワーは凄まじい。雅山や魁皇といった重量力士にも負けない。抜きん出ているのはスピード、あと精神力。3日目の稀勢の里戦なんかはスピードで圧倒した。精神力については琴欧州を比較にすればよくわかる。
朝青龍は大相撲にいなくてはならない存在だ。もし、朝青龍が休場したらと思うとゾッとする。たとえ混戦になったとしても、朝青龍不在の優勝争いなどどこか寂しいものになるだろう。自分がいることの大切さは朝青龍自身、よくわかっているのではないだろうか。
偉業を達成したとはいえ、朝青龍の相撲人生はまだまだ途中。来年はさらに強く大きな横綱になっていくだろう。
新大関・琴欧州
朝青龍を倒して大関昇進を決めたとはいえ、今場所はやや物足りなさが残った。ガチガチだった初日に垣添戦。相手を意識したのかこれまた固かった稀勢の里戦。精神的脆さをどう克服するかが最大の課題で、これを乗り越えない限りは上にあがれない気がする。
朝青龍との一番は見事だった。自分は琴欧州の豪快な投げが好きなのでそれが見れなかったのは残念だけど、まわしをガッチリつかんだときの強さは流石だった。技術的にはまだ進歩中で、9日目の安馬戦は突き放しての勝利だった。いろいろ身につけている段階だ。
横綱を期待する声が早くもあるけど、自分はまだまだだと思う。安定性がまだ足りない。それに、横綱になるには朝青龍を向こうにまわして優勝しないといけない。これは難しい。朝青龍をぶっ倒して優勝を分け合うぐらになれば、文句なく横綱だ。
それにしても、ほんと早いなぁ。昨年は十両だったのに。
奮起が望まれる先輩大関3人
琴風、若島津、北天佑――自分が小さい頃、大関というのは強くて、誰かが優勝争いに絡んでいた。しかし、そのイメージは今の大関3人にはない。「大関の名に恥じぬように」と琴欧州が言ってたけど、今の3人が言って説得力はあるのだろうか。
でも、今場所の千代大海(龍二さん)と魁皇はそれなりに頑張ったと思う。龍二さんは先場所から気迫を出して相撲を取るようになった。技の軽さは相変わらずだけど、それを気迫で補っている。魁皇は千秋楽で琴欧州相手に先輩の意地を見せつけた。2人への不満をあげれば朝青龍相手に善戦もできなかったこと、大関同士の一番が呆気なく終わったことか。
とにかく、優勝争いが面白くなるためには大関が頑張らないといけない。ただ、自分の彼らへの期待は大きくない。
来年こそはの白鵬
今年一番ガッカリした力士は白鵬だろう。春までは琴欧州よりも白鵬が大関候補だった。身体の柔らかさ、下半身の強さ、ドッシリとした落ち着きなど素質は一級品だ。1年前は快進撃で、朝青龍も倒した。
でも、大関を期待された大阪場所から歯車が狂いだした。7月には睡眠時無呼吸症候群だったことが公になり、普天王戦の負傷で休場。脚の怪我の影響はまだ抜けていないように見える。
今場所は「?」と思う相撲があった。千代大会戦はまわしをさっさと取ればいいのに取れず、雅山戦は突き放されたままだった(相撲は面白かったけど)。今まで負けなかった出島にも負けた。
12日目の琴欧州戦は取り直して敗れたけど見事だった。この一番だろうか、もっとも良かったのは。自分は今でも白鵬こそが横綱候補だと信じている。来年は立ち直って、早く琴欧州を追い越してほしい。
番付を上げてきた若手力士
大関に上がった琴欧州、三役に定着している白鵬以外にも若い力士が徐々に上がってきている。
普天王は怪我で残念だったけど、先場所は朝青龍を熱戦の末に破っている。小結で大きく負け越した悔しさもまだあるだろう。稀勢の里が前頭5枚目で負け越すのは予想通りだった。先場所の活躍は下位でのものだったから。でも、琴欧州を負かした相撲は見事だった。まだまだ若いんだし、長い目で見ている。
時天空が来場所は前頭筆頭まで上がりそう。これはちょっと意外だった。1年ぐらい前は幕内下位と十両を行き来するような力士だったから。前に押す相撲を覚えたことが大きいようだ。来場所は横綱戦や大関戦が実現する。安馬は前頭5枚目で負け越したけど、敗れた力士は琴奨菊をのぞけば前頭2枚目以上ばかり(横綱、大関含む)。勝った相撲は立派なものばかり。大きい馬力型の岩木山や黒海にも堂々と勝っている。時間はかかるだろうけど、どう成長していくか楽しみだ。
いまひとつの力士
琴光喜が後半苦しんで8勝どまりだった。この力士は迷いなくバチーンといくのが一番いいと思うんだけど。北勝力は昨年優勝争いした場所の面影はない。まわしを取られて呆気なく負ける姿はみっともない。
琴欧州に追い越された黒海、引き離された露鵬。黒海は相撲が雑すぎて…。なんで上達しないんだろう。普通の上手さ、馬力の使い方さえ身につければ三役に上がれる力士だと思うけど。今場所はあまり相撲を見てないけど、露鵬は引きを無くさないと。2人とも、幕内の中位以下なら今のままでもかてるけど、上ではきつい。
土佐ノ海が前頭11枚目で負け越した。幕内最年長、さすがに衰えてきたか…。高見盛は10日目で7勝に到達しながら、5連敗で負け越した。来場所、前半は高見盛(ロボコップムーブ)と片山(四股)で沸くことは沸くな。
琴ノ若
13日目に引退して佐渡ヶ嶽を受け継いだ琴ノ若。「まだやれる」という声が多く、自分もそう思うんだけど、師匠云々は別にして潮時だったのかも。
最後の一番が不完全燃焼に終わったのは残念。相手は同じ小兵なら安馬あたりがよかった。
来場所の幕内昇進、十両昇進
来年の初場所は幕内⇔十両⇔幕下の動きが激しくなりそうだ。
幕内に上がりそうなのは栃栄、豊桜、北桜、時津海、嘉風の5人。このなかで嘉風だけが新入幕。十両は3場所での通過となる。来場所の目標はまずは勝ち越しか。逆に十両に落ちるのは隆乃若、霜鳥、玉飛鳥、栃乃洋。
十両に上がるのは6人。琴春日、猛虎浪、豊真将、若麒麟、里山、須磨ノ富士。新十両の猛虎浪や豊真将、里山がどれだけやれるかが楽しみとなる。幕下に陥落するのは鶴竜、千代天山、白石、将司(もしくは把瑠都)の可能性が高い。
大器・把瑠都
把瑠都の盲腸による初日からの欠場は本当に残念だった。まだ荒削りで素早く潜り込まれたときなど弱いけど、身体の大きさと素質は一級品。西4枚目でも勝ち越しできただろうし、新入幕を決めれたと思う。把瑠都の欠場が決まったとき、自分の十両に対する関心はほとんどなくなってしまった。
ただ、盲腸だから膝など相撲人生に影響が残るものでなかったのは幸い。1年後には幕内上位にまで上がるぐらいの活躍を期待している。
気になる幕下以下の力士
全勝で幕下優勝を決めた澤井。高校生のときにアマチュア相撲で全国3位になった大器だ。先場所ではギリギリの4勝3敗で壁にぶつかったと思ったけど、今場所は全勝。前に前に、気持ちも身体もぶつけていく相撲は見ていて気持ちよかった。来場所は十両を視野に入れた場所になる。三段目を全勝で優勝したライバルの影山も楽しみだ。
勝ち越しはならなかったけど、上位にいる寶智山や高見藤も十両にあがるチャンスは来るだろう。
チェコ出身の隆の山。新人レスラーほどの細い力士だけど、今場所は東幕下15枚目まで番付を上げていた。脂肪のほとんどない彼が、大型の力士を負かす姿はほんと楽しい。十両昇進を期待して応援してるのだけど、今場所は残念ながら負け越してしまった。なんとか上位をキープし続けてほしい。同じ“細マッチョ”の阿夢露(ロシア)も三段目上位で負け越してしまった。逆に力士最重量の大露羅(ロシア)は勝ち越した。
自分が挙げれるのはこれぐらい。今場所は忙しくて、幕下以下の取組をほとんど見られなかった。
怪我
毎場所毎場所多いなぁと思うのは、怪我をする力士。場所前から欠場する力士もいれば、場所中の怪我で休場となってしまう力士もいる。今場所は関取だけで8名が休場した(途中出場含む)。霜鳥、玉飛鳥、隆乃若は十両陥落。白石と把瑠都は幕下陥落の有力候補。普天王は途中出場したけど、精彩を欠いて3勝8敗4休だった。しばらく前に幕内上位にいた海鵬(技能賞を今年獲った)は十両まで落ちて負け越したし、追風海は幕下で今場所欠場。来場所は平幕下位に落ちる若の里は、先場所の白鵬戦の負傷がなければ今は三役のはず。
場所前の欠場発表も、日が進むごとに休場者が増えるのも相撲ファンとしては辛い。先場所の若の里なんかは、負けまいと粘って脚が変な落ち方をしてしまった。頑張って怪我をするのは…。スポーツ選手は怪我と付き合う宿命とはいえ、今は大きな怪我をしないよう祈るしかないのだろうか?
ガラガラの客席
怪我以外に思ったことは「ガラガラだなぁ」と。今場所は酷かった。平日は上半分はほとんど空席。満員御礼は2日だけだったのでは? 大相撲の求心力が低いこと、朝青龍が早々と独走して優勝争いがつまらなくなったこともあるだろう。
相撲協会もいろいろ努力してるようだけど、平日は開始時間を2時間遅らせるとか(幕内を18~20時にする)できないのだろうか。朝青龍のライバルとなる力士が育てば、客を呼べる力士が増えれば良くなるとは思うけど。
低迷がつづく宮崎出身力士
宮崎出身力士は現在16名。すべて幕下以下の力士「取的」だ。全体的に見て、今場所の彼らはいい成績を残していない。三段目以上で勝ち越したのは春日国のみ。秋場所から連続で勝ち越したのは4名だけ(春日国、曹、魁慎鵬、時桜)。しかも、6勝以上は1人もいない。勢い良く上がってくる力士がいない。隣県の大分や熊本には幕内上位の関取がいる。宮崎は寂しい状況がつづく。
≪幕下≫東西1~60
西28枚目 郡山(こおりやま、三保ヶ関) 2勝5敗
東38枚目 春日国(かすがくに、春日山) 4勝3敗(☆)
東59枚目 千代の花(ちよのはな、九重) 2勝5敗
≪三段目≫東西1~100
東52枚目 男佑(だんゆう、二十山) 3勝4敗
東66枚目 大瀬海(おおせうみ、阿武松) 3勝4敗
≪序二段≫東西1~125
東8枚目 安寿(あんじゅ、安治川) 3勝4敗
東18枚目 曹(そう、春日山) 4勝3敗(☆)
西26枚目 春日湖(かすがうみ、春日山) 1勝6敗
西33枚目 幸の富士(こうのふじ、湊) 4勝3敗(☆)
東54枚目 魁慎鵬(かいしんほう、友綱) 4勝3敗(☆)
東61枚目 時桜(ときざくら、中村) 4勝3敗(☆)
≪序ノ口≫東西1~41
西6枚目 都富士(みやこふじ、湊) 5勝2敗(☆)
東8枚目 武田(たけだ、二十山) 4勝3敗(☆)
西16枚目 玉新山(たましんざん、片男波) 5勝2敗(☆)
西19枚目 勇大(ゆうだい、陸奥) 4勝3敗(☆)
東24枚目 金井(かない、陸奥) 1勝6敗
東30枚目 岩永(いわなが、陸奥) 2勝5敗
投稿者 blogpawanavi : 2005年12月01日 03:26
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