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2008年01月31日

松葉小学校(北川町)が閉校します [ 地域 ]

 少子高齢化が進む中、今年もまたいくつかの学校(北川の小学校は下赤・瀬口・松葉の3校が閉校)がなくなります。今回、ご紹介する「蛍の町」として有名な延岡市北川町にあります「延岡市立松葉小学校」もそのひとつで、残念ながら本年度をもち、121年という長い歴史の幕を閉じる事となりました。「松葉小学校」がある松葉地区には、現在92戸・約300人弱の人々が生活し、在校生徒数は1年生から6年生まで合わせて13名(1年1名、2年2名、3年4名、4年1名、5年3名、6年2名)となっています。校庭から見渡す風景は美しく、360度ぐるりと豊かな自然が溢れる山々に囲まれ、耳をすまさずとも小川のせせらぎが絶え間なく聞こえる静かな環境の中で、子ども達はまるで兄弟のように遊び、そしてお互いを励ましあい学んでいます。しかし宮崎県の最北部に位置する事から、南国とはいえ冬場はとても寒く、一度凍りついたプールの水は中々溶けないそう。それでも昼休みともなれば、毎日全員で、汗だくになってかけまわるそうです。生徒数の変移としては、明治21年、川内名小学校の分校として開校された当時15名だった生徒数が、昭和6年に168名を記録、そして昭和32年の156名をピークに生徒数の増減をくりかえしながら(昭和22年から平成14年までの55年間は小中併設校として小中一貫教育を行う)も下降の一途をたどり、ついに北川小学校との統合を迎えることになりました(卒業生は約1,500名)。学校の合言葉は「やる気」「元気」「思いやり」。これまでに「交通安全優良校」「へき地教育振興賞」「学校発明工夫展学校賞」「花いっぱいコンクール優良賞」等などの表彰を受け、さらに「読書教育推進校」として数回に渡り研究公開を行なったり、つい先日も、国土交通省河川局による「私たちの壁新聞コンクール」で優秀賞を受賞しました。また、PTA活動も積極的で「全国PTA協議会表彰」「文部大臣表彰」に輝くなど、学校と保護者、地域が一体となった活動が評価されています。たとえ少人数でも、地域社会との連携を重視し、その利点を上手に活かした"松葉ならでは"の行き届いた教育により、生徒達は思う存分個性を発揮し活躍しているようです。とはいうものの年々生徒数が減っていけば徐々にトーンダウンしていきそうなものですが、それでも先生・生徒の双方がやる気を失わず、松葉スピリットを継続する事ができた裏側には「数世代にわたり培われた学校と各家庭の強い信頼があってこそなしえる斬新な取り組みへの理解と、それを成功させるための行動力があったから」と、現校長の廣瀬美紀さんは語ってくれました。ただ、スポーツ活動をはじめ、どうしても少人数では学べない事や、身につかない事、さらに物理的にどうにもならない現実があるため惜しまれつつも閉校となってしまいますが、「松葉小学校」には人間にとって大切なエキスがいっぱい詰まっているように感じられました。
(レポート:松田秀人)

松葉小学校 職員のみなさん
▲左:松葉小学校 右:職員のみなさん

お気に入りの場所 080131-matsuba-020.jpg
▲左:彼はこの場所(玄関)がお気に入りだそう 右:廣瀬美紀校長先生

延岡市立松葉小学校
延岡市北川町川内名435
TEL:0982-49-1012
FAX:0982-49-1014
E-mail:1751ea@miyazaki-c.ed.jp
URL:http://www.miyazaki-c.ed.jp/kitagawa-matsuba-e/public_html/sb/
(たくさんの画像や記事が掲載されています)

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◆松葉小学校までの道のり

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道のり 道のり
 国道10号線を延岡市内から大分方面に向かい北川町に入ります(左上画像)。途中、10号線と326号線の分かれ道がありますが、そのまま10号線を進みます。しばらく行くと左下↓の「松葉小学校6キロ」の看板が見えますので、43号線(蒲江・北浦)へ右折します(右上画像)。

道のり 道のり
 この辺は蛍のシーズンに訪れた事がある方がいらっしゃると思いますが、やはり出かけるのは夜。日中はあまり通らないかもしれませんね・・・。

道のり 道のり
 右上↑の看板「松葉小学校1キロ」地点を左折します。

道のり 道のり
 細い道を約1キロ進むと「松葉小学校」の看板が右手側に見えてきます。看板のすぐ右上が「松葉小学校」です。四方を山に囲まれ、直ぐ下に小川が流れるとても美しいところです。

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◆松葉小学校紹介

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松葉小学校 松葉小学校

玄関 花

 下は生徒作の初代校長の森誠之輔氏。もともとは寺子屋だったと伺いましたが、明治5年に北川・北浦両下塚で「北浦・下塚小学校」を設立。その後明治14年に北川村矢ヶ内地区に移転。明治16年同校廃校と同時に川内名小学校区に編入。そして明治21年に「川内名小学校分校」として現在地に開校(この年を開校としている)。明治24年に「松葉尋常小学校」と改称。「北川町立・松葉小学校」と改称したのは昭和24年の事。延岡市との合併により現在は延岡市立となっています。なんでも初代校長の森誠之輔氏は自費で職員室を建造落成されたそう。立派な髭がトレードマークのようですね!

※松葉小学校の歴史詳細はこちら↓
URL:http://www.miyazaki-c.ed.jp/kitagawa-matsuba-e/public_html/sb/log/200501.html#eid4

080131-matsuba-025.jpg

 学校内には校舎、体育館、音楽室、理科室、25mプールなどのほかに、コンピューター・放送室や松葉中メモリアル館、そしてみんな揃ってお昼ごはんを食べるランチルームなどがありました。

体育館 プール
廊下 廊下
教室 教室

音楽室 音楽室

 グランドにはバックネット、遊具の他にサッカーゴールが設置されていましたが、人数的にサッカーは無理との事・・・。それでも「個人技を磨く」とトラッピングやドリブルの練習をしているそうです。

グランド サッカーゴール
遊具 バックネット

 そんな中、図書室(まつばっ子本の森)は手作りの飾りつけなどがたくさん目につき、みんな本が大好きなのがわかりました。

図書室 図書室

 また、学校内のいたるところに、過去から現在に至るまでのたくさんの写真が飾られています。

過去写真 過去写真
現在写真 現在写真

 さらに、よくよく目をこらしてみれば、鹿の足跡や糞が・・・。職員の方は「あ〜こっちの方向からくるのは例の親子だな!」と笑っていました。

鹿 鹿

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◆廣瀬美紀校長先生のお話

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廣瀬美紀校長先生 校長先生の机
▲左:廣瀬美紀校長先生 右:いつもココから生徒達を見守っている

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-----松葉小学校との出会いについてお聞かせください。
 校長としてこの松葉小学校に携わって2年になるのですが、実は30年前にこの地に赴任しています。ですからこの小学校との出会いは30年前ということになります。それから、松葉を離れ、縁あって今度は校長として戻ってまいりました。着任した当時はまだ閉校に関する件は知りませんでした。私はこの春定年を迎えるので、私にとって、この松葉小学校での2年が最後のお仕事になります。ただ、平成14年に小中併設が終わり、中学校がなくなってからは、地域住民の方々を含め、なんとなくといった雰囲気は感じていたのではないでしょうか?まあ複雑な気分ではありますが、今は記念式典や記念冊子などの準備を着々と進めているところです。

松葉小学校 松葉小学校

-----初めて松葉地区に来たときの印象は?
 30年前、宮崎市出身の私は延岡市で音楽の教員をやっており、自分から「へき地」を希望し松葉と出会いました。とにかく最初に驚いたのは、地元の方達のやる気と行動力です。新しいものを受け入れ、それを実践していこうとする精神は凄く旺盛でした。だから学校が何かを始めようとすると、嬉しい事にバックアップが凄かったですね!そのスタイルは30年後、再び訪れた時も変わっていませんでした。なにせ近代の30年ですから、時代背景から技術の進歩までガラッと変わっており、考え方やスタイルも180度違って当然なのですが、精神的な部分でのいい面はしっかり引き継がれていたというのが、とても嬉しい事でした。実際に顔を合わせてみれば、30年前に保護者だったみなさんが、おじいちゃん、おばあちゃんになり、教え子達がお父さん、お母さんとなって、今では子ども達を連れて学校にやってくるので、3世代に渡りお付き合いをしているという事になりますよね。もう家族も同然です。今までにいろいろな学校を経験しましたが、中には様々な取り組みに対して積極的でないイメージが強い地域もありました。確かにご父兄の方々の生活も大変だということも理解できますので、難しい事ではあると思いますが、この松葉地区の方々のやる気は本当にこちらが感心してしまうほどなのです。まずPTAの会合や参観日などの出席率が常に百数十パーセントあります。ご夫婦で参加される方も多いですね。きっと、このように人数の少ない学校、地域ですから、誰かに任せている場合ではなく、みんなが一人一役を受け持って、自分から率先して立ち上がらなければ何も動かないという事を体で感じているのかもしれませんね。逆に人が多いと、自分がやらなくてもきっと誰かが・・・という気持ちになってしまうのかもしれません。

松葉小学校 松葉小学校

-----大きな小学校との大きな違いは?
 今、松葉小学校では、13名の子ども達に8名の職員がついているのですが、毎日、全員が1度は話をするんです。昨日はどんな事をしたら何が起こったとか・・・。子ども達も話したがっていますし・・・家族のように子ども達の事がわかります。だから、ここにいる13名は兄弟のように接しています。たとえば月曜日が祝日などで3連休の時などに「お休いいね〜どこいくの?」なんて聞くと、「みんなと合えなくなるから3連休はやだ」って言うんです。少人数のマンツーマンなので勉強は結構厳しいんですけど、それでもみんな学校が好きなんです。昼休みはいつも13人で遊んでいますよ!晴れの日はグラウンドで、雨の日は体育館で、冬でも夏でも汗だくになって!1年生から6年生が年齢に関係なく一緒にいるので、遊びを通して自然に子ども達なりのルールが出来上がったり、下級生を思いやる心が生まれたりするを見ていると嬉しくなりますね。もちろん男女の隔たりだってありません。まるでお兄ちゃんが妹の手を引いて遊んだり、泣いている弟をお姉ちゃんが慰めたりという光景は日常茶飯事です。上級生は本当によく下級生達の面倒をみるんですよ!街場の学校では中々見ることができないかもしれませんね・・・。まあ、大人になると様々な人間関係で悩まされますが、男女にしろ縦横にしろ、あの子達をみていると、思わずこちらの心が洗われる気がします。また、うちの学校はみんな遠方から通っているので、今ではほとんどが保護者による車での送り迎えです。だから1日最低1回ないし2回は保護者の方々ともお話をすることになります。それだけに生徒だけではなく保護者とのコミュニケーションも頻繁にとることができます。学校生活又は家庭で気になったことをタイムリーに報告相談ができるのは、問題を持ち越さないという点においても、とてもいいことだと思います。ただ、保育園などを利用されていらっしゃる方は分かると思いますが、毎日の送り迎えって結構大変なんです。仕事をされている方々はいつも時間を気にしていなければならないですし・・・。そんな中、おじいちゃんやおばあちゃんの存在が非常に大きいんです。ちょっとした事でも頼めるだけで、精神的にかなり楽になったりします。身近におじいちゃんやおばあちゃんがいる環境だからこそかもしれませんね。

松葉小学校 松葉小学校

-----小さいというデメリットは?
 確かに全国にはこうした学校はたくさんあり、常に様々な方面から子ども達の事を考え検討をしているのだと思うのですが、実際に現場にいると現状はわかっていても、なくならなければいいのにと考えてしまう事もあります。マンツーマンのキメ細やかな指導は常に生徒達の集中力を高めますし、子ども達1人1人の特性をよく理解し、その子どもにあった指導をすることができます。また保護者を含めた人間関係や教育(勉強だけでない)に対する感心度の高さなどは、やはり少人数だからこそという部分は実感させられます。ただ、その反面、ひとつの問題に対してみんなの意見を聞くといったような場面では限られた思考しかなく、自分以外の豊かな発想や感性を持った仲間の意見を聞くことができないのです。対策としては、教師の側が数パターンのキャラクターをつくり、彼はこう言っているよ・・・などの努力をしていますが、それにも限界があります。同じ目線で一つのものを見たときにでてくる、子どもならではの豊かな発想を直接体で感じ、切磋琢磨していくには、どうしてもある程度の人数が必要なのも確かなのです。それは特にスポーツなどでいえるでしょう。ここでは友達同士でサッカーや野球などもできませんし、毎日元気に遊んではいるものの、どうしてもやることが限られてくるので、総合的な体力面などでは劣ってしまうのです。もちろん松葉小学校でも、基礎体力を向上させるための運動などはやっていますが、ある意味そういった事はどこの学校でも工夫してやっていますし、特別飛びぬけているわけではありません。また、みなさんは田舎の子どもはたくさん歩くから体力があると思われがちですが、それは何キロも先から徒歩で通っていた昔の話で、今では車での送り迎えだけでなく、友達の家との距離が離れていて遊びにいけないなどの理由から、家の中にいることが多くなってしまい、逆に街中で積極的にスポーツをする子どもさんのほうが体力が上がっていくのです。だからって、無理に歩け!というのは時代の流れでどうにもならないのです。途中に街灯や家もないので、万が一の事を考えれば、健康のために歩けとはなりません。

松葉小学校 松葉小学校

-----今後は北川小学校に統合されるわけですが心配な事はないですか?
 まったく知らない子ども達の中へ行くわけではないので、そこは持ち前の元気でどうにかなると信じています。大きいといっても、北川町内なので、様々な催しのさいにはみんな顔を合わせていますし、体験学習、宿泊学習なども一緒だったりするので、学校は違っても、仲のよくなっている子ども達も多いみたいですから。どちらかといえば、不安というよりも、子ども達にとっては新しい友達がたくさん増えるという期待のほうが大きいかもしれません。心配しているのは大人達ばかり・・・なんてことかもしれませんね。ただ、みんなこの松葉小学校が大好きなので、ここに通えなくなるという点においては悲しいですね。特にそれは、おじいちゃんおばあちゃんの世代のほうが大きいかもしれません。今までこの地区では、何をやるのも学校が中心となってやってきましたから、なんとなく地区がバラバラになっていくような寂しさを感じる事と思います。だって、生徒数が13名しかいないのに、運動会の時などは200人以上もの人が駆けつけてくれるんですよ!

松葉小学校 松葉小学校

-----今後はどのように利用されたいいとお考えですか?
 そうですね、この校舎がある場所自体とても静かで、自然が豊かないいところなので、できれば研修や体験学習ができるような施設として、これからも利用していただけたらと思います。また、お年寄りがホッとできるような場所になればいいとも思います。昔ほどではないですが、シーズンになれば蛍も飛びますし、この地区のみなさんの思い出の場所として活きつづけてもらえたらこんなに嬉しい事はありません。

松葉小学校 松葉小学校

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◆人と人のシンプルな繋がりをもう一度

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みんなの顔 玄関

 今回のレポートでは、全国各地でも増え続けている過疎化などの問題についてどうこう言うのではなく、こうした小さな学校ならではの魅力や利点を廣瀬美紀校長に語っていただく事で、私たちが忘れかけていた、人と人のシンプルな繋がりをもう一度考える事ができればと思いレポートさせていただきました。とにかく小さいけれど、濃厚な人の"気"はどんなに大きい学校にも負けないくらいぎっしりと詰まっている「松葉小学校」。2008年2月23日に開催される最後の式典には、現在300人を超える参加者が集まっているとの事です。

作品 昔の写真

投稿者 blogpawanavi : 2008年01月31日 21:47

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コメント

びっくりしました。
こんなに詳しく本校を紹介していただいたのは始めてです。
感謝の念に耐えません。
本校として教育活動に当たることができるのはあと少しですが、全力でがんばっていきたいと思っています。
今後ともよろしくお願いします。

投稿者 松葉小学校より : 2008年02月04日 08:40

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