アースデイ・マーケットくまもと

旬の無農薬野菜、無添加のパンやスイーツ、無添加調味料など、
地球と体に健康な食品や手造り雑貨が集う『アースデイ・マーケットくまもと』。
つくる人・食べる人の距離が近くなることで、日常の食卓がより楽しくなる。

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プロローグ 月に一度、生産者と消費者が出会う場所

体に優しく安全な食材を真摯に生産・販売する農家の方々の想いがあり、一方では、家族や子どもたちの健康を守るため、美容のためなど、食に対する意識が高い生産者の想いがあり、お互いがマッチングする機会があれば、日常の食卓や生活に楽しさや心の豊かさがいっそう広がる事でしょう。

この『アースデイ・マーケットくまもと』は、築130年の元酒蔵『早川倉庫』というスペースを舞台に、月に一度だけ開催されます。自分の想いとのマッチングを望む食意識の高い方が集い、生産者同士で販売される野菜について語り合ったり、自分の野菜が使用された料理を食べたり、毎回必ずお目当ての生産者の食材を求めに来られる消費者がいたり、縦と横のつながりだけでなく、その繋がりを重ねて計り知れない広がりを見せていました。

今回のレポートでは、2017年2月3日に開催されたマーケットの様子をご紹介するとともに、代表をつとめる一般社団法人日本お米協会代表理事の森賢太さんに、マーケットの取り組みについてお話しを伺いました。

 

『アースデイ・マーケットくまもと』とは? イベントの魅力

2009年、「生産者と消費者の出会いの場をつくる」ことを目的にはじまったマーケットは、今年で9年目を迎えます。無農薬・無肥料の自然栽培や有機栽培で育てられた新鮮な食材、その素材を使用したスイーツやローフード、自家製天然酵母のこだわりのパンなど、丹誠込めてつくりあげられた品々が県内各地からこのマーケットに集い、生産者が直接販売されます。

一番の魅力は、訪れた方が、その生産者の生の声を聞きながら安心してその品物を買い求めることができるという事です。そして、その生産者の大半が、安心安全な食と生活をもとめて県外から移住してきた方ばかりだというので驚きです。
有機農業とひとことで言っても生産方法は人それぞれで、「どのような過程や技術があって生まれたのか?」など、一般の消費者が見るだけでは到底分かりません。しかし、生産者から直接買うことで、「誰がつくっているのか?」「どんな想いなのか?」などの奥深い部分を知り得ることができるのです。

 

マーケットの様子 出店者をピックアップしてご紹介

最初はお客さんだったという方、知人を介してマーケットを知ったという方、このマーケットとの出会いはさまざまで、最初から出店しつづける生産者や初出店など、マーケット開催の度に内容が変わるのもイベントの醍醐味ではないでしょうか。その時の繋がりや出会いを求めて、毎月欠かさず訪れる方も多いのだそうです。

さんぽカフェ

▲今回初出店の『さんぽカフェ』。人吉市にあるカフェで、代表の浦川春加さんは食育インストラクターでもあり、メニューには薬膳料理なども提供。マーケットでは、白砂糖や乳製品を使わないオーガニックの『Vegan Sweets』という”Off スイーツ”と、卵や乳製品を使用した濃厚な”On スイーツ”、ドリンクなどを販売。

 

癒やしの小屋 てのは

▲高森町にあるヒーリングサロンとカフェを併設するショップ。無農薬で育った阿蘇の古代米と、高森の湧き水で焚き上げた小豆を使用したおはぎが人気。黒米・みどり米のきなこおはぎ、黒米とアーモンド、赤米の梅おはぎの4種類。それぞれのお米の風味に合わせて、小豆も炊きあがりを変えているのだそう。

 

リトルイングランド

▲スパイスの輸入・卸業を営む会社で、紅茶の美味しさを伝えたいとのことから、イベントのみ出店。スパイスを効かせたオーガニックのカレーや紅茶各種、ホットドリンクなどを提供。チャイには、豆乳を使用してアレルギーの方にも飲めるように配慮されており、イベントのみ登場するメニューに早い時間から完売メニューが続出していました。

 

あぐ里

▲山都町にある菌床しいたけ製造施設。標高650mの高地で栽培されているので、夏でも肉厚のしいたけが生産される。地下深くから水を汲み上げ、オリジナルの栽培方法で育ったしいたけはプリプリとした食感が特徴。おすすめは、「傘」の部分を下にして、鉄板でじっくり火を通すこと。表面に水滴が出始めたら食べごろなのだとか。塩やガーリックオイルなど、好みの味加減でいくらでも食べられそう。

 

dai tai

▲ショップは持たず、イベントのみで販売するオーガニックスイーツ作家。元々は東京で販売員をされていたそうですが、東日本大震災を機に食の安全性を考えて熊本へ移住したとの事。自給自足の先に趣味ではじめたスイーツに磨きをかけ、乳製品を使用せず、オーガニックココアやアールグレイ、熊本の素材でつくる安心安全なスイーツを目当てにやってくるファンが多いそうです。

 

友作農園

大阪から熊本に移住し、自給自足の田舎暮らしをするご家族が営む農園。無農薬栽培で採れた旬の野菜をはじめ、野菜やフルーツで作ったジャムの販売。この日は、かぼちゃの甘味を活かしたポタージュスープの提供もあり、訪れた人の心と体を温めていました。

 

天然酵母March

▲熊本市内に在る天然酵母パンの店。無農薬の米ぬかで自家製天然酵母をつくり、卵・添加物を使用せず、国産小麦、よつ葉バター、対馬の藻塩、種子島の洗双糖を使うなど素材にもこだわる。酵母から焼き上がりまで、1つのパンができるまでに10日かかるのだそう。イベントでは他のフードとともにお腹いっぱい楽しんで貰いたいとの思いから、プチサイズを提供。

 

丸山ハイランドふれあい農園

▲山都町にある標高800mの丸山高原「丸山ハイランドふれあい農園」で育てられたお米や農産物、加工品を販売。通常は知的障害者の自立支援や地域産業の振興を通じて次世代の育成を行うなどのボランティア活動を主としている。画像の山形夫妻も、地震を機に、未来の家族のために千葉・神奈川から移住されたのだそう。

 

マサキ農園・球磨川のほとり

▲季節の野菜のほか、珍しい野菜に独自の自然栽培農法でチャレンジするお二人。欠かさず足を運び購入するファンも多く、13時時点の撮影で半分以上が無くなっていたほど。契約する料理店やカフェも多いのだそう。

 

わが家

▲元・農業高校の教師をされていた徳永直喜さんが、自分の知識を活かした健康的な食品を、将来を担う子どもたちにぜひ食べてもらいたいとの思いから発足したグループ。膨張剤などの添加物は一切使用せず、自然の素材を練り込んだシフォンケーキや、農園でとれた無添加のめずらしい野菜ジャムなどの加工品を販売。

 

熊本ヒノデ米

▲アースデイ・マーケットくまもとを立ち上げた森賢太さんが生産も手がける『熊本ヒノデ米』。熊本地震の影響で田園風景がなくならないよう、放棄されかけた田んぼと種もみを受け継ぎ、被災者や県外からのボランティアで育てたお米。昨年秋に実ったばかり。

 

インタビュー 代表 森賢太さん

18歳で食品偽装の現場を目の当たりにしたことがきっかけで『食』を真剣に考えるように。生産者が直接販売をすることで買い手と作り手の繋がりを大切にできる場所を作り、その輪を深め、広げていきたい。

Q. マーケットを立ち上げたのはいつですか。

A. 「2009年です。今年の8月9年目になります」

Q. そう思ったきっかけは?

A. 「18歳のとき、自転車で日本一周したことがありました。北海道についたとき、世間を揺るがした食品偽装の会社の記者会見を偶然見たのです。食を考えてきた人が罵倒されながら誤っている姿を見た時に、『なぜこのようなことが起こったのか』と、頭から離れませんでした。『つくる人・食べる人がお互いの想いも直接伝えられず、自分の目の前だけで『食』を完結させてしまったからではないか?』と思うようになったからです」

Q. 立ち上げるまではどのような活動を?

A. 「戻ってからは、実際に畑を耕して無農薬の安心安全なきゅうりをつくりました。でも、売る先の事や、その後の事を考えていなくて……。夜、中心部で路上販売をしました。無農薬なので、曲がって見栄えが悪いのですが、間違いなく美味しくて体に良いものです。最初は敬遠される様子もありましたが、ちゃんと会話をして想いを伝えると、喜んで購入してくれました。その時、コミュニケーションの大切さを痛感しました。そして、このような場所を広げたいと、知人の有機農業や自然栽培の生産者に声掛けをしてマーケットが始まりました」

Q. 最初から早川倉庫で?

A. 「いえ、最初は街中の商店街やイベント会場など、人が集まる場所にその都度スペースを設けて開催すればいいと考えたのですが、出店者やお客様が増えてきたこともあり、場所を探していたところ、ここを知人が教えてくれたので、ちゃんとした形で開催するようにしました」

Q. これからのマーケットに目指すことは?

A. 「これほど多国籍で豊かな食文化が氾濫する現代では、確かな情報が手に入りづらく、食品偽装のような問題にも心が痛みます。だからこそ、そこにいちばん大切なことは、顔と顔を合わせて直接コミュニケーションをとり、お互いに信頼関係を結ぶことだと考えます。生産者も、購入する人も、体と心に健康な食材に出会い、日常の食卓を心豊かに安心して楽しんでほしいと思っています。今も、このマーケットにくる生産者に会いに来られる方も多く、作り手もモチベーションがあがり、いっそう美味しくて上質なものにしようとがんばっていらっしゃいます。つくる人・食べる人の繋がりをもっと広げ、深めていきたいと思います」

 

アクセス

住所:熊本県中央区万町2-4
開催日:毎月第一日曜日
開催時間:12〜17時(8,9月は16〜21時の夜市開催)
駐車場:なし(近隣パーキングをご利用ください)
URL:http://www.em-kumamoto.org/

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取材・編集スタッフ

モデル・レポート:中本望美
撮影・製作:ヴォーク有限会社

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