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2007年06月19日

建築デザイナー〜岩切剣一郎さん [ インタビュー ]

「五感に訴えるライフスタイルの提案」
 今回は、宮崎県佐土原町出身で現在神奈川県横浜市にある建築設計事務所「ネイチャーデコール」の取締役、また建築デザイナーとしてご活躍中の「岩切剣一郎」さんに、宮崎県だからこそ実現できる個性的かつ機能的な一般住宅に対するロマンを、故郷宮崎の地でたっぷりと語っていただきました。そんな、岩切さんの趣味はサーフィンという事もあり、この日は、宮崎の海から上がってきた直後にインタビューをさせてもらったのですが、待ち合わせ及び、インタビュー会場として利用させてもらったのは、岩切さんが今年宮崎で始めて設計を手がけたという高鍋町のリゾート住宅です。インタビュー時はまだまだ工事の途中ではありましたが、完成まであとわずかというこもあり、おおよその外観や内装が確認することができたため、岩切さんの説明をとてもわかりやすく聞くことができました。「五感に訴えるライフスタイルの提案」をテーマに、お洒落なだけでなく、機能的かつ癒される空間が広がる雰囲気作りを大切にしたこの住宅は、内外装ともに、こだわりの質感や一見無駄に思われがちな余白部分や空間の使い方、さらに駐車場から玄関、リビングに行き着くまでに建物のコンセプトを感じ取ることができるようなストーリー性、そして生活の中で気持ちいいと感じられる音や光、影に至るまで、人間の五感を気持ちよく刺激する要素がふんだんに盛り込まれた設計となっています。岩切さんの建築設計事務所「ネイチャーデコール」の所在地は神奈川県横浜市なのですが、今までにも、関東圏にとらわれず、日本はもとより海外でのお仕事も請け負っているそうで、そうしたことから岩切さんとしては、やはり故郷である宮崎の地での仕事を心待ちにされていたそうです。今回縁あって高鍋町に在住の方から一般住宅の依頼があり、岩切さんが設計を担当されたそうですが、いい一般住宅を建てる上では、何より土地と建物の価格のバランスが重要で、そうした要素をクリアしている宮崎では、のびのびとこだわりの住宅を提案できるということから、できれば今後も、宮崎をより良く、そしてさりげなく演出できる建物を増やし、宮崎の持っているポテンシャルを引き出していける提案ができればと考えているそうです。それではさっそく、その高鍋町にありますリゾート住宅の画像を交えながら、インタビューをご覧いただきたいと思います。
(レポート:松田秀人)

岩切剣一郎さん 岩切さんが手がけた高鍋町の住宅
▲岩切剣一郎さんと、岩切さんが手がけた高鍋町の住宅

◆ネイチャーデコール公式ホームページ↓
URL:http://www.nature-decor.com/

◆岩切剣一郎さんブログ↓
URL:http://iwakiri.jugem.jp/

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◆岩切剣一郎さん経歴

岩切剣一郎さん

宮崎県佐土原町出身。
佐土原小学校
佐土原中学校
佐土原高校(電子機械科1期性)
東京製図専門学校
建築会社に就職(住宅の現場管理)
2級建築士取得
設計事務所に転職(不動産量産建売の設計)
1級建築士取得
現在は「NATURE DECOR」取締役として活動中

※一級建築士事務所 神奈川県知事登録12056号

<業務内容> 全国対象
個人住宅、プチホテル、別荘、コテージ、各種ショップ、
自然素材によるオーダーメード家具、インテリアコーディネート、
暮らしにハーブを取り入れたアロマテラピー住宅の提案。


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◆岩切剣一郎さんインタビュー

インタビュー会場:岩切さんが現在手がけている高鍋町の一般住宅

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-----子どもの頃からもの作りが好きだった。


松田:大変申し訳ないのですが、こちらのスケジュールの都合により、勝手ながら久しぶりの地元でのサーフィンを途中で切り上げてもらうことになってしまいました・・・。

岩切:いえいえ、とんでもない。でも宮崎の海は最高ですね!(と言いつつウエットスーツを乾かしている)

松田:そういえば岩切さんのブログを拝見すると、サーフィンだけでなく、音楽やバイク、スポーツなど話題が豊富ですですよね。

岩切:結構多趣味なもので・・・でも、サーフィン、ツーリング、ゴルフ、フィッシング、その他スポーツ全般や、アウトドア関連を含め、いろんな趣味を本格的やるには宮崎県は最高の土地だと思います。

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松田:確かに、都会で流行っている家庭菜園やガーデニングなんかでも規模が違うというよりは全部そのものズバリですし、近くに本物がたくさんあるので、そうしたことに興味のある人にとってはとてもいい環境だといえるかもしれません。

岩切:何より宮崎は食べ物が美味しいじゃないですか!生活を楽しむ上での「衣・食・住」の中で、最も重要な「食」が高得点な上に「住」にもっとも関わりの深い、自然環境に恵まれているのだから、アイデア一つで、かなり楽しい、そして人間らしい生活が都会のようにお金をかけなくても楽しめると思います。

松田:そうですね、宮崎県は大都会の中心部のように、何もしなくても、様々な情報や楽しみがやってくるようなシステムは発達していませんが、逆に、何かを自分で見つけようとしている人にとっては宝の山かもせれませんね・・・。

岩切:本当に都会では何かやろうとするたびに、すぐに多くの費用がかかってしまいます。良くも悪くも、物は溢れるようにありますが、宮崎のようにアイデアだけではどうすることもできないという現状もあります。

岩切剣一郎さん

松田:さて、いきなり話が深いところに入って行きそうなので、ちょっとその前に岩切さんの経歴などをお聞きしながら、後ほど少しづつ、建築デザイナーの視点で宮崎を語っていただきたいと思います。

岩切:わかりました。じゃまずは何から行きましょうか?

松田:それでは、月並みな質問ではありますが、今のお仕事に至るまでを振り返ってもらえますか?

岩切:じゃあ、まずは小・中学校から・・・佐土原小学校、佐土原中学校を卒業して、もともと"ものづくり"が好きだったことから、佐土原高校の電子機械科に入学しました。ちょうどその年入学した僕たちが佐土原高校の1期性にあたります。高校を卒業後は、地方都市に住む若者なら、誰も一度は考えた事があるように、僕も人生の中で一度は東京や海外で生活したいという気持ちがあって、東京の専門学校に通うことにしました。

松田:専門学校は「東京製図専門学校」とプロフィールに記載されていましたが、高校の電子機械科とは方向性が違いますよね・・・。

岩切:確かにそうではありますが、僕としてのはずせないテーマが”ものづくり”だったので、とくに電子機器だけにこだわっていたわけではありません。その時は、もっと身近にある分かりやすいもので、はっきりと形になるような"ものづくり"がしてみたいと思い、建築やインテリアなどが勉強できる学校をえらびました。

松田:岩切さんが専門学校に進まれた頃って、ちょうど、CAD(Computer Aided Design / 設計支援ツール)が当たり前のように言われ始めた時期ですよね・・・。

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岩切:僕が通っていた専門学校にもCAD科がありましたよ!

松田:岩切さんが建築に興味を持ったきっかけはCADですか?

岩切:いや、そうではなくて、最初はそこまで建築にはまっていたわけではないのですが、東京の専門学校に通い始めるということで、一人暮らしをはじめたんです。誰に気がねすることもない部屋だから、自然とインテリアに興味が沸いてきた一方で、自分が卒業した高校が、もともと工業系だったことから、大手自動車メーカー等に勤めた友人などと近況報告する機会も増え、そんな中で彼らの話を聞くと、たくさんあるパーツの一部分しか手がけることができないのが当たり前だということがわかりました。だから、いろいろと考えた結果、やっぱりトータルで"ものづくり"に携わることができるのは建築デザインじゃないか?って考えたのがきっかけです。それに建築っていうのは人間にとって大切な三大要素の一つである「衣・食・住」の「住」の部分をになう仕事だけに、将来的にみても十分進化出来うる要素や、それに対して打ち込む価値があると思いました。なにより、その頃に興味が沸いてきたインテリアというのが直接関わる仕事だったというのもあります。


-----建築現場での経験があるからこそ今の僕がある。


松田:「東京製図専門学校」を卒業をされてからは、もちろん建築関連のお仕事につかれたんですよね?

岩切:はい、4年間工務店に勤務し、現場監督を経験しました。

松田:えっ現場監督って・・・同じ建築関連の仕事とはいえ、設計とはまったく逆の仕事じゃないですか?

岩切:そうですね・・・同じ建築"ものづくり"とはいっても、デザインではなく、現場作業だったので180度違っていましたね(笑)。それでも、現場のことをかなり勉強できたのは大きかったですよ・・・。4年間のうちに2級建築士の資格を得ることができましたし、なによりここでの現場体験が、後の僕の設計業務にも大きく影響を及ぼしましたから。

松田:では、何故現場に入る事を納得されたのですが?また、結果的には現場仕事は4年でしたが、もしかしたらそのまま現場を継続しなければならなかったかもしれません・・・。目標がある岩切さんとしては遠回りには感じませんでしたか?

岩切剣一郎さん

岩切:最終的にトータルで提案ができる仕事を考えていた事から、将来的には設計(デザイン)業務に携わりたいとは思っていましたが、その前に、まずは現場を体で感じ、設計者が提案するものが実際にどのような手順で仕上がっていくのかを見ておくことも必要だと思いました。だから遠回りという感覚はありませんでした。

松田:先ほど「4年間工務店に勤務」とおっしゃっていましたが、その後はどうされたのですか?

岩切:量産の建売を主に行っている設計事務所に転職し、とにかく設計の数をこなすという作業を繰り返していました。この事務所では、インテリアやエクステリアに特別なこだわりを持って設計するような場面には中々めぐりあえませんでしたが、なんといっても、注文の数が多かったことから、売る側、建てる側、共に様々な問題を抱えたお客さんも多く、特に法律などについて学ぶ事ができました。これに関しては、設計者としての下地づくりだと思い頑張りました。おかげで一級建築士の免許を取得する事ができましたし、ここでの経験もよかったと思っています。

松田:工務店での現場仕事、量産建売の設計・・・どちらも肉体だったり、精神だったり、一般的にはキツイと思われる仕事ですよね・・・。

岩切:まあそうなんですが、基本的に"ものづくり"が好きだったので、振り返ってみると、あまりそんなふうには思いませんね・・・確かに本当にキツイ日は何度もあったと思いますが、だからヤメルという事にはなりませんでした。

松田:一級建築士の免許を取得してから、すぐに独立されたのですか?

岩切:いや、独立するためには、まだまだデザイン面において足りないものが多いと感じていたので、デザイン的な勉強をするため、今度はそういった方面に力を入れている事務所に片っ端から連絡し、面接をうけました。面接に応じてくれる確立は10社中1社ぐらいのものだったのですが、どの事務所も、いかにも所長と部下といった関係が明確に表に現れていて、なんとなく暗い雰囲気の中で淡々と仕事をしているような職場が多く、"ものづくり"に必要な活気が感じられませんでした。確かに遊びではないことはわかっているのですが、やっぱり、いいものを作ろうというときには活気が必要ではないでしょうか?だから、たとえいい返事が得られても、自分の思う職場のイメージに合わないものはパスをしていきました。そうこうしているうちに、今の事務所と出会い、話をしているうちに、だんだんイメージしているものが似ていることがわかり、運よく勤めさせてもらう事になりました。それがちょうど26歳の頃ですね!

松田:遠回りという話をさせてもらったのですが、今にしてみれば、どれも必要なことであり、裏をかえせば意外とテンポよくステップアップしているとも思えてきました。

外観 外観

岩切:ただ、自分のまわりを見ていると、このようなルートでたどりついた人はあまり見かけませんね・・・。やはり、設計は設計、現場は現場・・・というのが普通なんです。あくまでも設計者になるために、まずは現場からというのは僕の考え方であり、どちらが近いということではないと思います。本当に今にしてみれば、しかるべき時期に、必要な事がうまい具合に現場で学べたわけですが、一歩間違えばどうなっていたことか・・・。

松田:岩切さんは「現場体験が、後の設計業務にも大きく影響を及ぼした」とおっしゃっていましたが、実際にどのような部分で現場仕事が役にたっていますか?

岩切:お客様のイメージするものが、実際にどのような工程・日数でおこなわれ、どのような部分に注意を払わなければトラブルが増えてしまうのか?材料や進め方など意味のない費用がかかっていないか?さらに、デザイン性には優れていても、それ自体が実際に使い勝手がいいものであるか?それを実現するために工事全体に大きな支障をきたすことがないか?などを、お客様、設計者、現場の立場から総合的に判断することができます。だから、現場の方達にも、はっきりと意思を伝えることができるし、たとえばNGの時は、なぜ出来ないのか!するべきでないか!を説明することができます。やはり、お金を払う側も、仕事を受け取る側も、いいものを作るために気持ちよく仕事を進めていかねばならないので、そういう時に僕は、いい環境といい関係を作るための、ちょうどいいフィルターの役割を果たすことが出来ると思っています。

松田:確かに図面の上と実際の作業現場では大きくことなりますよね・・・。私自身も過去に建物の内線工事の設計・施工にかかわる仕事と、建築現場での実作業をしていた事があるので、それはよくわかります。現場の環境は建物を建てる地域の特質や、季節、さらに様々な業者間のやりとりによっても大きく変わってくるので、設計変更を余儀なくされる場面も実に多かったです。こちらが思っているよりもずっと、双方の意思の疎通や連絡事項の確認が行き届いていないのだということを実感させられました。

岩切:でも、現場を経験していれば、このままではこういうトラブルに発展しかねないぞ・・・といった事も早期に予測できるじゃないですか?だから、そうならないためにも、先回りして業者さんや職人さん達に関連資料を送ったり、必要とあらば打ち合わせの場をセッティングしたりすることで、トラブルを解消していきます。中には本当につまらないトラブルで、理想の完成像からまったく遠のいてしまう事だってありうるのですから。

岩切剣一郎さん

松田:たとえば建築の世界では、図面といわれるものは大きく3ツに分類されますよね!まずは建物の外観や雰囲気、さらに費用を見積もりするのに必要な「設計図」があり、次に、実際に建物を建てるさいに必要な寸法や施工詳細が書き込まれた、平面図や立面図、または展開図などの総称とした「施工図」、最後に建物が完成した後に、結果を書き記す「竣工図」があります。そんな中で、私の少ない経験からいっても、現場の環境を全く気にしない設計者が描いた図面は、"現場作業の事を何も考慮していない"と現場担当者から再三クレームがあり、何度も施工図を書き直さなければならず、当初の見積もり金額では合わなくなる事もしばしばあったと思います。結果、設計図・施工図と竣工図がかなり違っているような場合もありますよね・・・。私も現場作業をしている時に、設計担当者とクライアントさん、または現場監督や職人さんがもめている場面をよく目にしましたから。

岩切:きっとその時の雰囲気で感じられたと思うのですが、クライアントさんにしてみれば、たまたま進行状況を見に現場に足を運んだら、当初の計画と全然違う工事が目の前で進んでいたら目が点になってしまいますよね・・・。その場で職人さんに”それ違うだろ!”とひと言いってやりたいところだと思いますよ・・・。でも、職人さんからしてみれば図面の指示通りに作っているわけなので、クライアントさんは設計者に”いったいどうなってるの?”という事になるんです。実はこのような事はよくある話で、何が原因かといえば、クライアントと設計者だけでなく、設計者と職人さんとのコミュニケーション不足があげられます。特に現場が大きくなればなるほど、同じ建築業界にいても設計者と職人さんとは意外にコミュニケーションがとれていなかったりするものなのです。それは、きっと相手の仕事内容や気持ちを理解していないからではないでしょうか?

松田:特にこだわりの部分の多いクライアントさんはトラブルも多いでようね・・・。実はこだわりの多い人って、いいものを作りたい気持ちも人一倍あるので、神経質になるのは当然だと思いますし、また、それを手がける側のやりがいも大きいとおもうのですが?

岩切:そうですね。うちの事務所に仕事を依頼してくるクライアントさんの多くが、そうしたこだわりを持っている方々なので、特にコミュニケーションに気をつかわないと、仕事の途中で伝えたい事が伝わらないイライラが爆発してしまい、そのままにしておくと後で大変なことになりますから・・・。

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-----宮崎だから気持ちいい住宅が作れる。


松田:関東近郊を中心に建築デザインのお仕事をされている岩切さんですが、ほとんど自然らしい自然が見当たらない都会で活動する上で、自然に恵まれた宮崎県の環境の中で思春期をおくられた岩切さんが、宮崎人でよかったな〜って思われる部分を教えてください。

岩切:ん〜、そうですね〜・・・まあこれは宮崎人だからってことでゃなく人にもよるのでしょうが、僕に限っていえば、宮崎の海のようにノビノビと仕事をやらしてもらっているところじゃないかな〜と思っています。そして、そういった日々の感情などが設計に活きているとしたら、ダイナミックさとか、または自然をイメージさせる光や音を様々な生活空間に溶け込ませたり、大胆に余白を使いきって、宮崎のビーチや空のように気持ちいいシンプルな空間を演出しつつも、宮崎人の持つ暖かみや安らぎの部分はしっかり押さえる事ができる。みたいなところでしょうか?もちろん都会に出てきたために、逆に窮屈になってしまった方もいると思うので、あくまでも個人的な考えではありますが・・・。

松田:サーフィンが趣味だとお聞きしておりますが、宮崎といえばやっぱりサーフィンですよね!そんな宮崎人ならではの趣味が仕事に活きたりしないのですか?

岩切:いや、これが結構役にたっているんですよ!サーフィンをやりに海外にも行くのですが、行けばかならず、その土地の建築物などを見て歩きますし、日本と全く違う町並みの中では、異なる文化をもった人々が独自のスタイルで生活していますし、デザインに関するヒントがたくさん詰まっていますから!

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松田:岩切さんは、大胆に余白を使い、気持ちいいシンプルな空間を演出するとおっしゃっていましたが、デザインの中で余白部分をどう扱うかってかなり重要なことですよね・・・。

岩切:まあ、心情的にはできる限りなんでも詰め込みたいものなのでしょうが、最終的に気持ちよさを感じるのって、余白とその他のバランスだったりしますからね・・・。そういう点では、都会は自由になる土地面積も少なく、どうしても制約が増えるので、詰め込まざるを得ないといえます。だから余白や間の取り方が重要だといったところでどうにもならないのが現状です。その点、宮崎は自由になる部分がかなり多いのでノビノビとしたデザインを提案することが出来やすいのがいいですね!とにかく宮崎の海が最高なのも、実はデッカイくて白い砂浜が延々とあったりするからじゃないですか!この開放感が気持ちいいわけで、そんなダイナミックさがデザインに活きてくれば、宮崎らしい個性が生まれると思います。

松田:そして今まさに気持ちのいい故郷、宮崎の地に、岩切さんのデザインによるリゾート住宅が出来ようとしているのですが、初の地元での仕事にプレッシャーなどは感じませんでしたか?

岩切:いや〜プレッシャーというか、ものすごく力が入ってしまいましたね!何故かといえば、このリゾート住宅がきっかけとなり、今後、自分の地元である宮崎からの依頼が増えればいいと考えているからです。将来的に、宮崎の住宅をたくさん手がけることで、気持ちいい空間が広がる町づくりに貢献できれば嬉しいです。とにかく、僕は建築デザイナーなので、いい建物をつくることでしか地元に還元できませんから・・・。もちろん、家族や親戚が見に来るというのもプレッシャーといえばプレッシャーですが(笑)

松田:今回”課題”といったものはありましたか?

岩切剣一郎さん

岩切:なにより土地の広さをどのように使うかですね!先ほども言いましたが、都市部ではとにかく土地がないので、それをどうやってカバーするか?等がよく課題となるのですが、逆に宮崎は住宅が密集している中心部から車を10分から15分も走らせれば、広々とした土地に出会うことができるのがいいですよね!土地をのびのびと使えるからこそ、どのようにまとまりを出すのかというのが課題でしたね!あとは、家に入ってリビングに落ち着くまでのストーリー・・・かな?・・・・・言ってる意味わかります?音楽でもちゃんとイントロがあって、Aメロ、またはBメロがあって、サビに入るわけじゃないですか?確かにいきなりサビから入る曲もありますが、それはちゃんとそういう演出がされていて、そのサビが引き立つようになっているはずです。だから住宅も、その家の持つ雰囲気が、訪れた人にしっかり伝わるように、イントロからしっかり作らなければならないんです。

松田:そういえば、心に残る住宅って、独特の雰囲気がありますよね・・・。

岩切:そういうのって車から降りてから玄関までの距離や、玄関の形状や質感、さらに扉を開けてからみんなが集まるリビングにたどり着くまでのちょっとした演出でワクワク感をアップさせる事ができ、家に帰ってくる事や、友人を呼んだりすることが楽しみになったりするのですが、装備ばかりが重要視され、雰囲気に関わる部分が意外と軽視されていたりもするのです。

松田:でも、そういった演出って、先ほどもお話にありましたが、何も置かない、置けないような空間・・・いわば余白をたっぷり使わないと出来ない事ですよね・・・。

岩切:だから都市部に比べ土地に余裕のある宮崎のほうが、素敵な住宅を建てられる可能性が高いのです。みなさんも知っての通り、都会は土地自体が高いので、値段のわりに建物自体にかけられる費用は少ないのです。さらに気持ちいい空間を作ろうとすれば、それなりのスペースが必要ですし、周辺の環境や陽あたりなども関係してきます。

松田:音楽にたとえるなら、この土地はこういう雰囲気だからクラシック風にしよう!とか、ポップ調にしよう!リズムはこうでメロディはこうで・・・というかなり自由な進行ができるのが宮崎のいいところなのかもしれませんね!逆に、土地面積や周辺の環境により、作る前から、曲の長さだけでなく、リズムや雰囲気まである程度決まっている中で、アイデアを出していかなければならないのが都市部なら、必然的に住宅もパターン化せざるを得なくなりますよね・・・。私もテレビや雑誌で、様々な住宅を見ましたが、かなり無理矢理詰め込んでいるのがみて取れます。デザインの肝は収納スペースをいかにしてお洒落に確保するかという部分がよく取り上げられていますし・・・。

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岩切:そして、建物を建てる上で、環境というのはとても重要なのです。巨大なオフィスビルやマンションが乱立する都会だと窓を開けても青空が見えない住宅がたくさんあるんですよ・・・中には、排気ガスなどで窓が開けられない住宅もありますし・・・。でも、宮崎なら、青空や周辺の緑、自然の音までもをふんだんにとりいれつつ、明るい日差しが差し込んで、気持ちいい風が吹き抜ける住宅がたくさん作れるのです。まあ、僕をふくめ、宮崎に住んでいる人、住んでいた事がある人にとってはごく当たり前のことなのでしょうが。だからこそもっともっと気持ちいい、個性的な一般住宅が増えて、それが宮崎の風景の一部となればいいと思うのです。個性的というのは気持ちいいと感じる部分が人それぞれということです。

松田:今までのお話から、岩切さんが建物の持つ雰囲気や質感などを大切にされているのがわかるのですが、ひと通りこちらのお宅を拝見していると、そうした見た目や雰囲気といった部分だけでなく、機能面でもよく考えられているように思われます。たとえば、ガラス面も多く、ものすごくたくさん光が入ってくるのですが、どの窓も、直接強風が当たらないよう、少し離れたところに壁があったり・・・これも台風が多い宮崎だからでしょうか?さらに、キッチンや浴室のとりまわし、特に、今インタビューで使わせていただいている、リビングの横にある、琉球畳が敷き詰められたお座敷スペースもちょうどいい、膝高で思わず座ってしまいます。

岩切:はい、やはりお洒落で雰囲気があっても、使いにくいものであってはならないと思っています。だから、その土地の特質なども重要ですし、そのスペースで何がしたいか?というのも大切です。たとえば、このリビングなども”人が集まりたくなる”というのをテーマにしているので、奥にひざの高さぐらいのお座敷スペースを作り、何気なく腰掛けたり、少し疲れたらお座敷で寝転んだり・・・。その人その人が、気兼ねなく一番リラクックスできる体制をとり会話に参加できるようになっているのです。そしてキッチンが一番高くなっているので、料理を作るこの家のオーナーは常に全体を見渡す事ができつつ、常に会話にも参加できるんです。

室内 家具

松田:このスペースは天井も高くて、とても広々としていますよね!特に玄関から長い廊下を通って、突き当たりを曲がり、ふとリビングを見ると、階段の向こう側が透けているように見えて、もう、そこから開放感が感じられます。また階段の下にある、ちょっとしたスペースも気持ちいいですね。その奥には天井の高いリビングとキッチンとお座敷があるのですが、ただ間仕切りらしきものが全く見当たらないですね・・・。見た感じ直ぐに、たくさんの人を呼んだ時に活躍しそうだというのはイメージできるのですが、壁がないのに不思議と各スペースごとに独立感があるのは何故でしょうか?

岩切:そうですね・・・いくら空間を広く使いたいといっても、どこから何処までがキッチンで・・・。というのが全くないと、人は落ち着かないのです。もちろんキッチンとリビングやお座敷の間に、パーテーションのようなもので区切る事も考えられるのですが、せっかく天井も高くとっているのだし、このスペースに関しては、階段のデザインを見ていただければ分かるように、極力閉鎖感をもたれないようなデザインを心がけました。その結果、床の高さと、それぞれのスペースの質感に変化をもたせることで差別化を図ったのです。ただ、コンセプトがバリアーフリーになってくると若干見せ方も変わってくるのですが・・・。

松田:お座敷の高さも、そのまま歩いてきてヒョイと座れるからいいですよね・・・。そしてこのお座敷のすぐ横にあるプールらしきものに、水がチョロチョロと流れ落ちる音が心地よく聞こえるのもいいし、窓の外にみえる水面もキラキラ光って癒されますよね。

屋外 床

岩切:まあ、なんといっても僕のデザインコンセプトは「五感に訴えるライフスタイルの提案」ですから、その辺も全て計算しています(笑)。こういった水場があると、夏は視覚的にも涼しく感じますし、子どもさんならプールとして活用することができます。冬場などは、ちょうどお座敷に座ったままで、表情豊かな水面を見ることができますし、その窓にお花を飾れば、水面に浮かんだ花のようにも見ることができます。静かな昼下がりに、お座敷に寝転んでチョロチョロと流れる水の音を聞いているだけでも癒されますよ!やっぱり、自宅にいて癒されるのが一番なのです。

松田:確かに、雰囲気を重視すると使い勝手が悪くなってしまったり・・・そのバランスって難しいですよね・・・。でもこの住宅は、パッと見、お洒落優先のようにも見えるのですが、キッチンまわりやお風呂に洗面所、さらに洗濯スペースと、主婦の体の動かし方までしっかりと考えられていて、無駄がない上に、癒し効果まで盛り込まれているのが凄いです。

岩切:とにかく、日々使い込むものなので、使いやすさや癒されるといった部分はかなり重要なのです。そして、先ほどもいいましたが、都会ならアレはダメ、コレは出来ないという様々な制約が多く、あっちを重視すればこっちが弱くなったりというように、バランスをとるのがなかなか難しくなるのですが、なっといってもノビノビ提案ができる宮崎だからこそバランスのいい、それでいてお洒落な住宅が、都会に比べて、みなさんが思っているよりもずっと安価でつくれるのです。そして何より、宮崎は環境のよさが魅力です。

室内 室内

松田:今日は、横浜でご活躍中の建築デザイナー・岩切剣一郎さんに、地元宮崎での初仕事の現場にお越しいただき、宮崎と住宅について様々なお話を聞かせていただきました。それでは最後になりますが、今後の目標などをお聞かせください。

岩切:最近は自分と同年代のクライアントさんも増えてきましたし、そうした中には、個性的なこだわりの住宅を作りたいという声も多いのです。だから、僕も今よりもっともっと感性を磨いていかないと、よりよい提案ができなくなってしまいます。きっとそういうのって、もくもくと建築だけやっていてもダメだと思うんです。だからいろんな事にチャレンジし、たくさんのものを見て、それを自分のものにしていかなければならないと思います。最終的にその感性が、建築デザインを通して宮崎に還元できたら僕はうれしいです。

松田:お忙しい中、本当にありがとうございました。

岩切:こちらこそ!

投稿者 blogpawanavi : 2007年06月19日 23:09

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コメント

宮崎に、ますます素敵な建物が増えるといいですね。
次回は、有限会社COGITEの蒲牟田さんのエントリーを希望します。

投稿者 com : 2007年06月21日 01:33

とても読み応えのあるインタビュー記事!
松田さんありがとうございました。。。
実は小・中・高の同級生でもありご近所という
岩切くんのこれまでのことがよくわかって
とってもうれしかったです!
私も頑張らなくては〜と思いました!!

投稿者 いの : 2007年06月21日 08:29

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