2004年04月19日

ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ [ ビデオ/DVD/ミュージカルmusical ]

Hedwig and the Angry Inch
2001年/米 1時間32分 カラー
ビデオ・DVD
監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル
脚本:ジョン・キャメロン・ミッチェル
音楽:スティーヴン・トラスク
原作:ジョン・キャメロン・ミッチェル/ スティーブン・トラスク
キャスト:ジョン・キャメロン・ミッチェル、 ミリアム・ショア、 スティーヴン・トラスク

  「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」は「人間はもともと4本の手、4本の足、2つの頭を持った生き物だったのだが、神によって落とされた稲妻で2つに引き裂かれた。その時の片割れを探してさまよう、寂しい二本足の人間達。」というプラトンによる「愛の起源の物語」をベースにし、ジョン・キャメロン・ミッチェル自身が主演・監督・脚本・演出を手掛け、作品内でもヘドウィグのバンドのギタリストとして出演しているスティーヴン・トラスク(グリーン・デイ、ジョーイ・ラモーン、デビー・ハリーなどのプロデュースを手掛ける現役のミュージシャン)が音楽を担当し、オフ・ブロードウェイ(下記参照)で2年半のロングランを記録したロックミュージカルを映画化したものです。公開当時、デビッド・ボウイはグラミー賞をすっぽかしてまで観賞し、マドンナが楽曲(ミッドナイト・レディオ)の使用権利を申し入れた!などの話題もあった作品です。

パワナビ松田(ストーリー&レビュー)

■ストーリー
 かつてベルリンの壁が存在した共産主義体制下の東ドイツで自由の国アメリカを夢見ていた少年ハンセル=ヘドウィグ(ジョン・キャメロン・ミッチェル)は複雑な家庭環境の中、親子3人で暮らしていた。父親に性的虐待をうけながらも耐えつづける毎日・・。いつしかアメリカ軍のラジオから流れるロックミュージックがハンセル少年の心の支えになっていた。やがて男性として成長するものの、女性的だったハンセルはある日、ホモセクシャルの米兵にみそめられ結婚をせまられる。ところが「男のままではあの壁は越えられない」という米兵に対し、ハンセルの母親は「自由を手に入れるにはそれなりの代償が必要」と、東ドイツ脱出のために性転換手術と名前(ヘドウィグと変名)の変更をすすめる。しかし、不運にもヤブ医者の手術により、彼の股間には1インチ(約2.5cm)のシコリ(怒りの1インチ/アングリーインチ)が残ってしまうことに・・・。なんとか米兵と渡米するも、夫?は新しい美少年をみつけヘドウィグの元をさってしまい、同時に目の前ではベルリンの壁崩壊のニュースが流れる・・・。失意の中どうにかバンドを結成し、様々な仕事をするヘドウィグだが、ある事がきっかけになりロックスターに憧れる17歳の美少年トミー(マイケル・ピット)に出会い心を通わせる・・・。やがてヘドウィグは自分の片割れのごとくトミーに愛情をそそぎ、ヴィジュアル的なアドバイスをしたり楽曲を提供するなどしつつ2人でライブ活動をはじめる。やがてトミーからも信頼をよせられるが、ある日を境にトミーは彼女を裏切り、楽曲を利用し一躍ロックスターへと登りつめる。一方ヘドウィグは、バンドメンバーであり今の夫?でもあるイツハク(ミリアム・ショア)やギタリストのスキシプ(スティーヴン・トラスク)と共に自身のバンド「アングリーインチ」を従え、ストーカーのようにトミーのツアー先についてまわり、目と鼻の先のドライブインやレストランでライブを行い、歌やトークで自分の立場を主張するが、やがて資金は底をつき、メンバーともギクシャクしはじめる。そんな毎日にうんざりし、売春婦のように街角にたたずむヘドウィグの前に超大型のリムジンで現れたのは、なんとロックスターとなったトミー・ノーシスだった。

■レビュー
 作品自体から「ロッキー・ホラー・ショウ/1975年 米」(下記参照)を彷彿とさせますが、来日時の監督自身のインタビューでは「ロッキー・ホラー・ショウは学生の頃見たけど特に大ファンだったというわけではなく、どちらかというとオール・ザット・ジャズやキャバレーが好きでした。もちろんロックも好きでしたが、どちらかと言えばミュージカルに傾倒していました。音楽を担当したスティーヴン・トラスクはルー・リードやデヴィッド・ボウイ、イギー・ポップのようなミュージシャンが好きなので、ふたりを合わせればよい音楽がひととおり揃うのではないかと思いました。この映画ではグラムロックだけでなくカントリーやパンクなども使われており主人公が子供のころにベルリンの壁を通して聞いた音楽がいろいろ凝縮されているのですが、当時それらは自由の象徴でもあったのです。」と語っていました。
 主人公のハンセル=ヘドウィグは少年の頃、ベルリンの壁の向こう側で、米軍のラジオから流れる自由の象徴を聞きながらロックンロールと自由に憧れ、それを手に入れる代償として、性転換手術の失敗による股間のシコリ「怒りの1インチ/アングリーインチ」を背負って生きていくことになるわけですが、この映画のテーマともなっているプラトンの愛の起源によると元々人間は4本の手、4本の足、2つの頭を持った生き物で、神様の放った稲妻によって引き裂かれたそうで、人間の意志でバラバラになったわけではないそうです・・・・・。そんなことから、この映画ではその象徴として引き裂かれたベルリンの「壁」が登場し、また、男と女の間にヘドウィグという存在(壁)がベルリンの壁同様に、象徴として描かれています。オープニングで流れる「打ち壊せ」ではベルリンの壁に見立てた落書きだらけのマント(上記画像参照)を広げたヘドウィグがワイルドなロックをコミカルなパフォーマンスで歌い上げます。なにせ映画のオープニングということもあって、ヘドウィグの生い立ちなどもわからず「壁と橋とはそう違わない、私を打ち壊せ!」と叫ぶシーンもはじめて見たときは、ただ漠然とそのパフォーマンスを楽しむだけでコレといって特別な印象はもちませんでしたが、再度見返してみると、「壁と橋はそう違わない、私を打ち壊せ!」というフレーズがとても印象的で、男と女、自由と束縛、戦争と平和、その他、様々なものの狭間にある見えない「壁」を打ち壊さない限り、世界中に散らばっている自分のカケラ探しは始まらない!とヘドウィグ自身が自分に向かって言っているように感じました。橋は渡る意志があればいつでも向こう側に渡れますが、壁が立ちはだかれば容易には渡れません。しかし、考え方によっては例え橋がかかっていたにせよ、向こう側に渡る意志(勇気)がなければ壁であれ橋であれ、どちらも同じようなものなのでしょうね?
 「打ち壊せ」から物語は過去にさかのぼりますが、ヘドウィグ自身、少年ハンセルだった頃よりホモ・セクシャルではあったにせよ、いくら自由と引き換えとはいえ、理解あり過ぎる?母親に「自由を手にいれるには、それなりのリスクが必要よ」と性転換手術と変名を進めらるまでは自分自身をちょん切ってしまうなんて考えてもみなっかたことでしょう。そしてハンセルはヘドウィグとなり、手術の失敗により本当に大きなリスクを背負ってしまったわけですが、これは彼(彼女?)が橋を渡ろう、壁を壊そうと行動を起した勇気の証とともに、つねにヘドウィグを夢から現実へひきもどすものでもあります。その直後に、あの絶対的だったベルリンの壁が崩壊されるところをTVで観ながら呆然とするシーンがありますが、心身共に大きなリスクを背負ってしまい傷をうけながらも歌いつづけるからこそ湧き上がってくる人間的パワーと男女を超えた説得力を感じる反面、今の自分を直視できず、美しい衣装や派手なカツラで過去を忘れようとしている寂しさのようなものも伝わってきます。そんなことから、2回目の観賞ではオープニングの「打ち壊せ」が「誰かこんな私をぶち壊してくれ!」とも聞えるのです。「美しい死体」では「体中縫い目だらけ、カミソリで切られた傷跡でできた地図、そこを辿っていけばミジメな世界が待っている。私の身体に横たわる地図はコラージュさ、縫い目だらけ!」そんな風にも歌っています。
 表面的には陽気なオカマちゃんを演じるヘドウィグですが、自分を裏切ったトニーを許せないことや、股間の「アングリーインチ」へのこだわり、周囲の目など、本当の自分を取り戻すためには6インチあった頃のハンセルとは違う、のこりの1インチのヘドウィグを受け入れなければならないわけで、現実には悩みはつきません・・・・・。
 物語もエンディングに近づく頃歌われるマドンナがほしがったといわれる楽曲「ミッドナイト・レディオ」では「息をしろ、愛を感じろ、自由を与えろ、魂でしれ、心臓から脳までの流れを君の血が知っているように・・・・・・パティにティナにヨーコにアレサにノナにニコにそして私に乾杯!イカレタロッカー達あなたたちは正しい、今夜はしっかり抱き合おう」と、まるで自分に語りかけるように歌いながら、派手なメイクもケバイコスチュームも脱ぎさり、本当の彼の姿にもどっていきます。しかし、いくら戻ろうにも、そこには6インチのハンセルはなく、1インチのヘドウィクが1インチのハンセルへと変わるだけという厳しい現実があります。でも「自分が自分自身に壁を持ちつづけていては本当のカケラは見つからない」といいたげな表情や、ヘドウィグでは許すことのできなかった様々ことも視点を変えて見れるようになり、これからは本当の自分で勝負!と決心はするものの、素の自分をさらけ出すことに、どこかおびえたような感じで裸のまま路地をあるいていく(そのように見えたので)ラストシーンがとても印象的でした。
 とにかくロックミュージカルなので、通常のミュージカルとはまったく違い、辛口に言ってしまえばプロモーション風に見えてしまう部分もあるかもしれませんが、それゆえに、コテコテのミュージカルが嫌いな人でも、普通に楽しめると思います。ヘドウィグのように様々な運命のイタズラで大きなリスクを背負ってしまう事は人生において少なくないはずです。私を含め身体や心のシコリとなる「1インチ」は多かれ少なかれ誰でも持っているはず!自分の中に出来た絶対的な壁となる「1インチ」をどう請け入れるかできっと、自分自身の未来も変わってくるような気がしました。
 ところで私の相方のカケラ君は今どこで何をしているのでしょう?もしかして、この人がカケラかもしれないと思えば少しは他人にやさしくできるようになるのでしょうか?自分のカケラどころか分身のような子供を平気で殺してしまう親が増えている今、自分のカケラ探しもいいですが、なんとも微妙ではあります・・・・・。

PS:ヘドウィグの夫役「イツハク」を演じるミリアム・ショアは映画ではヒゲ面のグランジファッションなのでわからないかもしれませんが正真正銘の女優さんです。その辺はラストでわかるので「ミッドナイト・レディオ」のシーンは要チェックです。そしてロック好きの方ならわかる小ネタで、ヘドウィグが初めてトニーと会ったとき、トミーがどんな音楽が好きだったかをヘドウィグが解説するシーンで「ボストン、カンサス、アメリカ、ヨーロッパ、エイジア〜さすがに世界中を旅するのは疲れた」と思わず笑ってしまします。 また、どうにかバンド活動をしたいヘドウィグが韓国人女性を集めて演奏するシーンも笑えます。特にエレキギターの女性が・・・。さらに「未来あるカート・コバーン」なるセリフもあったりしますし、デヴィッド・ボウイ、イギー・ポップ、ルー・リードなどの名前もでてくるあたり、スティーヴン・トラスクの趣味もてんこもりのようです。前にも触れた来日インタビュー時に監督は「日本版のヘドウィグなんかも見てみたいと思います。」とも言っておりましたが、2004年5月よりTOKYO・パルコ劇場にて三上博史のヘドウィグが舞台でみれるようです。

※オフ・ブロードウェイ?
 タイムズ・スクエアを中心に、ブロードウェイ41丁目〜53丁目の38件の劇場で上演されるのがブロードウェイ演劇!ミュージカル公演がほとんどで、全てにおいて超一流どころが集まります。チケットはおおよそ50ドル〜90ドルです。ブロードウェイに対しオフ・ブロードウェイ演劇はというと、マンハッタン中に分散する約50件の小さな劇場で上演されるものをいいます。公演の内容もミュージカル〜コメディまで様々で、ブロードウェイスター達の修行の場ともいわています。チケットは約半分ぐらいの20ドル〜50ドル程度ですが、内容のほうは上記の〜ヘドウィグ〜のように楽しいものもたくさんあります。

監督・脚本・主演のジョン・キャメロン・ミッチェル
●ジョン・キャメロン・ミッチェル(監督・脚本・主演)
・1963年米国テキサス州生まれ。
・1986年「マイアミ5」で映画デビュー。
・1991年ブロードウェイの舞台「シークレット・ガーデン」にて
 ドラマ・デスク賞にノミネート。
'・1993年オフブロードウェイの舞台「The Destiny of Me」にて
 オビー賞を受賞。ドラマ・デスク賞にもノミネートされる。
・1994年ミュージカル「Hello Again」にて
 ドラマ・デスク賞に2年連続3度目のノミネート。
'・1998年「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」にて
 オビー賞、ニューヨーク・マガジン賞、ドラマ・リーグ賞、
 アウター・クリティックス・サークル賞を受賞する。
●ヘドウィグ アンド アングリーインチ
・サンダンス映画祭
最優秀監督賞・最優秀観客ダブル受賞
・ベルリン国際映画祭
テディベア賞
・ドービル映画際
最優秀新人監督賞・最優秀評論家賞・グランプリ
'・サンフランシスコ国際映画祭
最優秀観客賞
・シアトル国際映画祭
最優秀主演男優賞

*** 時間があればこちらもどおぞ! ***

ロッキー・ホラー・ショウ/The Rocky Horror Picture Show
1975年/米 1時間39分 カラー
監督:ジム・シャーマン
製作総指揮:ルー・アドラー
制作:マイケル・ホワイト
撮影:ピーター・サシツキー
音楽監督・編曲:リチャード・ハートリー
脚本・作詞・作曲:リチャード・オブライエン
キャスト
(フランクリン博士) ティム・カリー
(ジャネット) スーザン・サランドン
(ブラッド) バリー・ボストウィック
(執事) リチャード・オブライエン
 こちらは年配の映画ファン(失礼)なら1度は聞いた事がある名前ではないでしょうか?今やロックミュージカルの教典となった「ロッキー・ホラー・ショー」!世界初の参加型B級ホラーロックミュージカル?観た事がある!というのは別として(笑)、約30年たった今でも世界的にファンの多い(万人向けではないと思いますが)作品です。もともとロンドンの小さな劇場で公演されていたミュージカルがどんどん規模が大きくなっていった作品を映画化したもので、膨大な数のリピーターを中心に、当時から会場はお祭り騒ぎの仮装行列!超参加型ムービーとして観客達が映画と一緒に踊り・歌い・叫ぶ姿がフィルムを通して見ることができます。「トランシルヴァニア生まれのユニセックスよ!」などとKISSやランナウェイズも真っ青なメイク&コスチュームのかなり強烈なキャラクターが登場しますが、グラムロック全盛時代の作品なので、そちら方面がお好きな方は大体想像がつくと思います(笑)。しかし、作品に登場するキャラクターの個性、ファッションやセンス、ネタに至るまで、今でもそれらの手法が映画だけでなく、様々な形で使われいます。観た事がない!という方で興味のある方は「ロッキー ホラー ショウ」と検索してみてください。様々なコンテンツを見ることができます。中には出演者全員で踊る「タイム・ワープ」という曲の「ステップの解説」などもあったりします。さらに95年「デッドマン・ウォーキング」でアカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞したスーザン・サランドンの若かりし可愛い姿もタップリ見ることができます。・・・・・1970年代・・・・・・当時のことを考えると、現代とくらべても70年代はかなりブッ飛んだ方がおおかったような気がするのは私だけではないとおもいます。日本ではローリー寺西などが公演していましたっけ・・・。

 PS:ロッキー・ホラー・ショウのビデオ・DVDをご観賞の際にはお子さんのいない時間帯にしましょうね(笑)。

投稿者 blogpawanavi : 20:18 | コメント (0) | トラックバック

2003年11月19日

タイタス [ ビデオ/DVD/ミュージカルmusical ]

TITUS
1999年/米 2時間42分
監督 : ジュリー・テイモア
脚本 : ジュリー・テイモア
出演 : アンソニー・ホプキンス、ジェシカ・ラング、アラン・カミング
原作 : ウィリアム・シェイクスピア「タイタス・アンドロニカス」

舞台「ライオン・キング」の演出で女性として初めてトニー賞ミュージカル部門の演出賞に輝いたジュリー・テイモアが、シェイクスピア37本の戯曲中、もっともショッキングな作品といわれる「タイタス・アンドロニカス」を映画化!舞台で培った独特の演出とアート感覚は、舞台芸術の分野に新時代を切り開いた彼女ならではのもの!ショッキングな作品といわれるだけあって、レイプ、手首や舌や首の切断、そしてレクター博士を思わせるような食人・・・。と、作品はR15になってもしょうがない内容となっておりますが、それら全てをジュリー・テイモアがスタイリッシュなビジュアルで美くも残酷な新しい世界感を演出!舞台の手法が映画でどのように伝わるかが見物!1999年アカデミー賞衣装デザイン賞ノミネート作品です。

パワナビ松田(ストーリー&レビュー)

■ストーリー
 ローマ最高の戦士であり人格者でもある英雄「タイタス・アンドロニカス(アンソニー・ホプキンス)」はゴート族との戦いで勝利をおさめ、敵国の女王タモラ(ジェシカ・ラング)と3人の息子を人質にローマへ凱旋帰国を果した。タイタスは今回の戦争で死んだ息子たちの弔いと復讐のため、タモラの長男を生贄にせよと命じる。タイタスの人格を信じ、死に物狂いで命乞いをするタモラだがあえなく長男は処刑される。悲しみをどうすることもできないタモラは残されたふたりの息子カイロン(ジョナサン・リース・マイヤーズ)とディミトリアス(マシュー・リース)とともに、タイタス一族への復讐を誓った。
 一方、ローマでは亡き皇帝の長男サターナイナス(アラン・カミング)と弟のバシアナス(ジェームズ・フレイン)が、激しい帝位争いを繰り広げていたが、ローマの英雄タイタスの凱旋に湧き上がる市民達の声を代表する護民官から上がった新皇帝の名前は、2人の兄弟ではなく「タイタス・アンドロニカス」だった!しかしタイタスは授かった皇帝の座を前皇帝の長男サターナイナスにゆずってしまう・・・。さらにタイタスは皇帝争いに敗れた前皇帝の次男バシアナスと恋仲の美しい娘のラヴィニア(ローラ・フレイザー)をサターナイナスに嫁がせることを承諾する。以前からラヴィニアとバシアナスの関係を知っていたラヴィニアの兄(タイタスの息子)がコレに反対し、新皇帝サターナイナスとの関係を重視したタイタスは、立場上やむをえず息子の一人を殺すことになってしまう。しかし「ラヴィニアに恥をかかされた!」と怒りの収まらない新皇帝サターナイナスは、こともあろうかゴート族の王妃だったタモラを妃に迎えてしまう・・・。皇妃という立場になりタイタス一族に復讐を誓ったタモラは、絶好のチャンスを手に入れる。知らず知らずのうちに地獄へと引きずりおろされるタイタス!そして追い詰められたタイタスが決断したのは?


■レビュー 
「時代を混合し衝突させる!」そんなジュリー・テイモア監督のコメントを読んだことがありますが、この作品に関しては、「象徴的に」とか「絵柄が」などの範囲にとどまらず、自由奔放にやっちゃってます・・・。ローマ帝国に車やバイクは出現するは、ペプシやゲームセンターらしきものまで出現!ファッションのほうも、まるでグラムロックのミュージシャンを思わせるかのような人がいる傍らに教科書で見慣れたローマ人がいたりと、過去と現在が「混合」というよりは、むしろ「混同」しております(ラップっぽく音をふんでみましたが失敗/苦笑)。自分自身この作品を3回ほど見ているのですが、もしかしたら2回半といったほうがいいかもしれません。なぜかといいますと初めて「タイタス」と出逢った(笑)のは、ある夜、なかなか眠れずに、なにげなくTVの電源(多分CS番組)をいれますと、なにやら昔風のローマのセットに舞台劇じみた台詞が流れてくるじゃありませんか!これといって興味も湧かず、あたりまえのようにチャンネルを変えようとする指先に「まった」をかけたのはアラン・カミング扮するサタ−ナイナスの風貌・・・。「何コレ・なんでローマなのにこんな人が出てるの?もしかしてデュラン・デュランの新しいプロモ?」・・・・・・。真面目なのか不真面目なのか、それともただのお笑いか?それこそ物語も何もわからずに、しばしお手並みを拝見することに・・・。するとどうでしょう、時間がたつにつれていよいよわからなくなるいっぽう!そんな微妙な空気の深夜3時に、追い討ちをかけるように現れた、舌をぬかれ口から血を流し、手は切断され木の枝が埋め込まれ、もだえ苦しむ美しい女性・・・。もう目が点です!台詞といい、舞台といい、演出といい、何か変わってるというのはわかるのですが、さすがに意味不明・・・!そのままチャンネルを変えるに変えれず?ひきずられるまま画面を見ていると、今度は見慣れた顔のオジサンが登場!ついついTV画面のアンソニー・ホプキンスに「あんたここでなにやっとんの?」と一言。そんな私の言葉に耳をかさず、アンソニーオジサンは長〜い台詞を演劇調に喋る喋る・・・・・・。オジサンが言うには、どうやらこれから復讐を開始するらしい・・・、そして雰囲気的にこれから物語りは山場にさしかかる可能性大!この辺でやっと冷静になってきた私は「これはもう一度はじめからみたほうがいいのでは?」と気付き、肝心の結末を見る前にTVの電源をOFF!わかっているのはオジサンが出ていることと、オジサンの役がタイタスだということ。しかし、今の時代はこれで充分!トムクルーズになった気分で、ミッションを開始!早速インターネットで検索すると見事にビンゴ!(お暇なかたはYahoo!で「アンソニー ホプキンス タイタス」と検索してみてください)。タイトルも解り、詳細もチェック、さっそく次なるミッションを開始するため翌日レンタルビデオ屋さんでタイタスをゲット!もちろんホームページチェック時にプロダクションノートなども見たので製作意図なども解り「意味不明部分」も納得済みで鑑賞できました。さすがにシェイクスピアの中で最もショッキングというだけにストーリーそのまんまだとかなり濃厚な内容で、重たく、シュールな感じになってしまいそうなものを、時には大げさな演技で、時にはビジュアルで、はたまた小ネタで、ジュリー・テイモアが食べやすいように料理してくれたようです。そういえば子供が嫌いなピーマンを小さく切り刻んでハンバーグに入れちゃうあの手法ですかね!だから本当にピーマンが好きな人にとっては「なんだよ!味がわからんじゃないか!どこがピーマンなんじゃい、新鮮なピーマンは甘くて美味しいんじゃ〜!!」と怒られてもしかたありません・・・。が、しかし、この辺は趣味の問題だと思いますし「ピーマンは食べなきゃいけないっていわれたけど、どうしてもだめなんです」という人もいたりなので、これをきっかけにピーマンが好きになればいいな〜と思いつつ、もっと嫌いになりそうな予感もしております。私自信も「おおっ」という場面と「なんじゃコリャ」と思う場面が一本の中にたくさん混ざり合っていて「ぜひ一度観てください!」とまで言う決定的な何かがわいてこないので、今回は「おすすめコーナー」ではなく「無理にとはいいません」で紹介させていただきました。
 「残酷。それでいて恐ろしいほどに美しい」なんてキャッチコピーになっておりますが、美しいとはいっても、やっぱり「エグイのは全〜然ダメ!」という人はやめといたほうがいいかもしれませんね、逆に「羊達の沈黙、ハンニバル、レッド・ドラゴン」のレクター博士(アンソニー・ホプキンス)が好きな人は見るべきです!なぜなら、レクター博士の祖先は絶対にタイタス・アンドロニカス(アンソニー・ホプキンス)だからです。どうやらアンソニーオジサンってハリウッドの人達からみても「人を食せたい男ナンバーワン」なのでしょう。何故かというのはタイタスを観てのお楽しみということでよろしく!
 ちなみに印象的だったのはアラン・カミング演じるサタ−ナイナスですかね!横ワケちょいキモボーイ具合が絶妙!メチャメチャはまっています(絶対、デュラン・デュラン、カルチャークラブ、デビッド・ボウイあたりの80年代プロモにいるタイプです)。とにかく、ああだこうだといいながら、私としても2回半も観ておりますので、きっとどこかに惹かれる部分があるのでしょう?2時間42分と長い映画ですがそれほど長いとは感じませんし、もちろんストーリーはしっかりしていますので見応えもあるでしょう。アンソニー・ホプキンス演じるタイタスの、立派だけど一本気で猪突盲信的な行動が頭悪そ〜に見えたり、舞台劇っぽい言い回しが時にコミカルに見え、またそんな役をアンソニー・ホプキンスが必要以上に大真面目にやっているのが面白いです。しかし、くれぐれもスプラッターホラーとは異なる「オエッ」な表現が数回ありますので、まったく苦手な人はやめといてください。「せっかく食べたさっきのミートパイが台無しよ!お金返して(怒)」等のクレームメールは受信できないようなシステムとなっておりますのであしからず・・・。
 それでは女性監督ならではの「世にもキモ美しい世界」をゆっくりとお楽しみくださいませ!

PS:前半でサター ナイナスとバシアヌスが皇帝の座を争い、街角で対立し言い争いをする場面で振っている旗があるのですが、じつはローマではライバルの関係にあるサッカーチーム「A.S. Roma(黄/赤)」と「S.S. Lazio (白/水色)」のイメージカラーだそうです。スタッフはみんなサッカー好きなのか?それともジュリーさんの個人的趣味なのか?
「タイタス」にビビッときた人はさらに上級編に突入(笑)↓

■狂い咲きサンダーロード

「地獄で開け鋼鉄の夢・・・。」
な、なんとも凄まじいキャッチコピーではないか・・・・・・・・・・。 1980年/日 98分

監督 : 石井聰互
出演 : 山田辰夫、小林稔侍、南条弘二
音楽 : 泉谷しげる、 パンダ&HAL、THE・MODS

日本にあるぞ復讐ムービーの上級編!1980年公開のバイオレンスムービー「狂い咲きサンダーロード」
バトルロワイヤル&キルビルに今更ながら宣戦布告!追い詰められた一匹狼が狂った街サンダーロードで血の華を咲かせる。

投稿者 blogpawanavi : 20:11 | コメント (0) | トラックバック


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