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2002年05月22日

時計じかけのオレンジ [ ビデオ/DVD/SF ]

Clockwork Orange
1971年/米・英 2時間17分 ワーナーブラザース
製作・監督・脚本 : スタンリー・キューブリック
原作:アンソニー・バージェス(時計じかけのオレンジ)
出演:マルコム・マクドウェル(アレックス)、ミッシェル・ターン(ペイト)

今回の「シネマレビュー」はスタンリー・キューブリック監督の作品「時計じかけのオレンジ/Clockwork Orange」です!今でもたくさんのファンがいるこの作品、ストーリー・映像、どこをとっても31年前の作品とは思えないほどセンスで溢れています。「今さら紹介しなくても・・・」なんて声も聞こえてきそうですが、まだ見たことのない人もきっと多いはず!これを機会に是非ともチェックしてもらいたい作品です。

パワナビ松田(ストーリー&レビュー)

■ストーリー
舞台は近未来(作品は1971年製作)のイギリス!殺伐とした無機質な街に、夜になるとどこからともなく現れる、独特の「ナツァト言葉」というスラングでののしりあう不良少年グループ・・・今夜もミルクバーでは「ブラックハット」に「付けまつげ」、ナイフを仕込んだ「ステッキ」を片手に少年「アレックス」は麻薬入りミルクをのみながら3人の仲間と欲望のはけ口を思案する。「ベートーベン」をこよなく愛し、頭もきれ、暴力にたいしてためらいのない「アレックス」はグループ内では一目おかれたリーダー的存在。今夜も彼ら4人は欲望のおもむくままに身をまかせ次々と犯罪を重ねていく。不登校、グループ同士のケンカはあたりまえ、浮浪の老人を殴り倒し、事故を装い作家の家に侵入、作家に暴行を加え、その妻を鼻歌交じりでレイプ!といった具合に彼らにとって犯罪はほんの遊びに過ぎない・・・そんな知的?悪のカリスマ「アレックス」の衝動的暴力行為は、時としてグループ内に及ぶときもある。暴力を楽しむ彼らもグループ内暴力にはたまりかね「アレックス」に抗議するが、それを不服とした「アレックス」は仲間達をこっぴどくやりこめてしまう。力によって一旦は治まったかにみえたものの、のこる3人の心中はおだやかではない・・・あるとき、4人はいつものように中年女性宅に忍び込むのだが、日頃から弾圧をうけていた仲間達の裏切りによって殺人容疑で逮捕され、14年の実刑判決をうけ刑務所送りとなる。

 そんな時、イギリス政府は「犯罪者特別更正プラン・ルドヴィコ治療法」を開発!犯罪者を更正させるだけでなく、その犯罪者自信が治療後には暴力などに対し極度な嫌悪感を抱き、目にするだけで吐き気やめまいをもよおし無抵抗な骨なしなってしまうといった画期的なプランなのだが、中には「善悪を自分で理解し判断できないのは人間ではない!犯罪者をただの廃人に変えるだけで、本当の意味で更正したことにはならない。」などの反対意見も出ている中、イギリス政府は「ルドヴィコ治療」の公式発表するべく人体実験をしようと企む・・・

実刑から2年後、「アレックス」は「ルドヴィコ治療に協力すれば2週間で出所できる。」という噂を聞き、まわりの意見も聞き入れず「ルドヴィコ治療」の人体実験に自ら志願する。

「ルドヴィコ治療」はかなり過激な治療で、椅子に体を縛り付け、目には特殊な金具をつけ瞬きもできない・・・そんな状況で、ありとあらゆる過激な暴力やレイプシーンを毎日何時間も見せられる!やがて精神のどこかに「暴力に対する嫌悪感」が植え付けられていく。その映像のドクドクしさにさすがの「アレックス」も嫌気がさしてきた時、偶然BGMで流れてきたのは大好きな「ベートーベン/第九」。「やめてくれ〜」と泣き叫ぶも時すでに遅し・・・かくして実験は見事に成功!「ルドヴィコ治療」により、政府に都合のいいような人格を植え付けられた「新アレックス」が完成した!「暴力」をふるおうとすると激しい吐き気をもよおす「アレックス」はあろうことか「第九」にすら嫌悪感をいだくはめに・・・

政府の創り上げた人間型ロボット(時計じかけのオレンジ?)「アレックス」は、晴れて社会復帰、出所することになったのだが、自称「真人間」となった「アレックス」を待ち受けていたのは、新聞などで彼の事を知った人々!さらに「ルドヴィコ治療」を受けた彼は反政府の人々にとっては絶好のカモだった。そして「アレックス」が今までやってきた「仕打ち」はそう簡単に人々の心から消えるものではない、ましてや「ルドヴィコ治療」なんかで精算できるものではなかった。「暴力をふるえない」その特異体質をいいことに、以前いたぶられた浮浪の老人達からは逆に袋叩きにあい、ようやくのがれて助けを求めた警察官はかつて「アレックス」を裏切った仲間達!彼らはここぞとばかりに「アレックス」をいたぶる。散々な目にあった「アレックス」が助けを求めてようやくたどりついたのは、なんと、あの作家の家だった・・・作家は反政府側の人間で、しかも、以前のレイプ事件はその後、作家の妻を死においやってしまった。復讐の炎は燃えあがるばかり、さらに政府の申し子を精神的に追い込もうと作家は「アレックス」を監禁し、巨大なスピーカーで「第九」をかけまくる!気が狂いそうな「アレックス」は苦しみからのがれるために自ら命を絶つことを決心!窓から身を投げてしまう。

かろうじて一命をとりとめたものの、そのショックのおかげ?で「ルドヴィコ治療」の効き目はなくなってしまう。一方、マスコミが「アレックスはルドヴィコ治療による政府の犠牲者」と騒ぎ立てる。真向から非難を受けたイギリス政府は、包帯でグルグル巻きにされながらも洗脳から開放された悪のカリスマ「アレックス」のもとに和解を求めにやってくる。そして「アレックス」にひざま付き彼の大好きな「第九」をプレゼントする。病室にはマスコミが殺到!ものすごい数のフラッシュの中、握手をしにっこりわらう2人、政府をバックにつけ勝ち誇ったような「アレックス」の表情、そして彼の精神にはあらたに巨大な欲望の火がともった!!


■レビュー
 一時期スプラッタームービーなどが流行ったりで過激な描写も当たり前、少しぐらいの映像では驚かない今日この頃ではありますが、最近では少年・暴力・政治といったものがテーマになった「バトルロワイヤル」が大ヒット!その過激な描写なども話題の一つでした。でもそれは今のこと。今回紹介する「時計じかけのオレンジ」が発表された1971年は今とはまったく状況もちがい「暴力描写」にたいする見方もかなり厳しかったはず。「バトルロワイヤル」ですら様々な波紋を投げかけたというのに1971年当時「時計じかけのオレンジ」の過激な「暴力」や生なましい「性描写」は目をそむけたくなるのも時代を考えれば当然でしょう。1971年といえば、他にも「暴力・犯罪」をあつかったクリント イーストウッド主演の「ダーティー ハリー」が有名!シリーズ化にもなりましたが(1、2は必見!)こちらは犯罪者をやっつける刑事の話。しかしそれまでの刑事物と違い犯罪者の「サイコ」な描写がとてもリアルで主人公のハリー キャラハン刑事も「悪党はたとえ命ごいしようがためらいなく撃ち殺す」といった昔ながらのヒーローとはかけ離れたものでした。さらに戦争をテーマにした「ジョニーは戦場へいった」もそれまでのどこか華やかなドンパチとしたオールスター出演の大作映画とは異なり、戦争によって四肢をうばわれ、目や耳もつかえなくなるジョニーの苦悩を描いた反戦作品で、見るものを考えさせます。そしてこの「時計じかけのオレンジ」は「暴力」を遊び感覚で重ねる少年「アレックス」をとりまく、堕落した環境、腐敗した政治、殺伐とした家庭、信頼関係のない友人関係などを、ユーモアと皮肉タップリに描いてます。「ダーティー ハリー」「ジョニーは戦場へ行った」そして「時計じかけのオレンジ」といった1971年3作品は、当時はお茶をにごしたようにしか扱われなかった(扱えなかった?)「暴力・犯罪・戦争」といったテーマをまったく違った角度から切り込み「真正面からリアル」に描写している新しい作品でした。そして3作品に共通するのは「暴力」の裏に見え隠れする「体制」の描写です。人一人の命や人格などよりも面子や政策を重視する「無意味な体制」を皮肉っているのがよくわかります。この数年後の1976年にはベトナム帰還兵が主人公の「タクシードライバー」という「暴力・売春」を憎むベトナム帰りのタクシードライバー(ロバート デニーロ)がある少女(ジョディー フォスター)との出会いをきっかけに、自分を鍛え上げ「暴力」で「暴力」に制裁を加えるといった名作が生まれるわけです。とにかく70年代初頭に出てきたこのような作品達が強烈な印象をあたえ、ちょうど幕末の長州・薩摩・土佐藩といったような感じで、当時様々な分野に波紋をひろげ、いい意味でも悪い意味でも今の時代に繋げたような気がします。中でも「時計じかけのオレンジ」の描写は当時としてはかなり自由な感じで、特に首がとんだり、内臓が出てきたりするわけではないのですが、見るものにそれ以上の戦慄を与える演出は今だに新鮮です。中でも主人公の「アレックス」が作家夫婦の家に押し入り「ジーン ケリー/雨に唄えば」を鼻歌まじりにレイプするシーンはあまりにも有名で衝撃的!話も近未来が舞台となってるわけですがSF映画にありがちな町並みは一切無く、もちろんロボットなども出てこない。ただただ荒れ果てた団地や落書きだらけの壁、殺風景な港、へんてこりんなバーにたむろす不良少年達・・・ご都合主義の堕落した大人達が作りあげたつまらない街で生活する少年達はある意味犠牲者なのか?そんな「アレックス」達の唯一自己主張・自己表現が「暴力」なのか?この作品で使われているサウンド、セット、そして設定!今となっては現実に近未来になってしまったわけですが、今みても、全てが妙にハマッテいる気がしますがどうでしょう・・・スタンリーキューブリック監督のズバ抜けたセンス、みなさんも是非チェックしてみてください!


■スタンリー キューブリック監督
・1928年7月26日 アメリカ NY ブロンクス生まれ
・1999年3月7日逝去 

☆その映像技術はあまりにも有名。「2001年宇宙の旅」を見れば一目瞭然だが「バリーリンドン」では照明を一切使わずに高性能レンズを使用しとても美しい映像をとることに成功したり、いまではお馴染みとなったステディカムを使っての撮影も本格的に導入されたのは「シャイニング」が初めてである。さらに音楽センスも抜群でロック〜クラシック音楽まで様々な楽曲が利用されるが、その全てが映像にマッチしている。決してどちらかが一人歩きしているようなことはない。あの有名な黒澤明監督も代絶賛した素晴らしい監督だ!

*** キューブリック監督代表作品 ***

・現金に体を張れ 1956(米)
・突撃 1957(米)
・スパルタカス 1960(米)
・ロリータ 1962(英)
・博士の異常な愛情 1964(米・英)
・バリーリンドン 1975(米)
・フルメタルジャケット 1987(米)
・アイズ ワイド シャット 1999(米)

投稿者 blogpawanavi : 2002年05月22日 19:06

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