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2008年09月08日
ハンコック
原題:Hancock
(2008年/米 92分 カラー)
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
監督:ピーター・バーグ
脚本:ビンセント・ノー、ビンス・ギリガン
音楽:ジョン・パウエル
撮影:トラビス・シュリッスラー
視覚効果:ジョン・ダイクストラ
出演:ウィル・スミス、シャーリーズ・セロン、ジェイソン・ベイトマン
☆ラゾーナ川崎プラザ 109シネマズ にて観賞
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◆パワナビ松田 レビュー
お気に入り評価: 65点/100点満点
超人的な能力でロサンゼルスの人々を危機から救うハンコック(ウィル・スミス)。しかし彼のやり方はいつも乱暴で他人の迷惑など顧みない。その上、大の酒好きで性格も悪いときているから始末におえない。そのため事件を解決するのはいいが、毎度まいど街はメチャメチャにされ、その修復費用だけで莫大な予算が流出してしまう・・・。いつの間にか世間ではハンコックは厄介者の代名詞となり、歓迎されない彼の活躍?はYouTubeを通し世界中の人々の知るところとなる。今や街を歩けば子ども達からも後ろ指をさされるハンコックだが、ある事件をきっかけに市民から愛される理想のヒーローを目指すハメになる・・・。
目下、ハリウッドで最も稼ぐ男(年収85億円)となったウィル・スミス主演のSFアクションコメディ?『インデペンデンス・デイ』ではアメリカ人・・・いや全世界を代表し宇宙人を素手でぶっ飛ばしたウィル・スミスだが、ここ数年は意外にもド派手なアクション作品から遠ざかっていたため、2004年に公開された『アイ,ロボット』以来となる本格的なアクション作品の主演である。まるで出場すれば必ず金メダルを奪取するアメリカのオリンピックスター選手のようなウィル・スミスだが、この作品は単に金メダルを獲得するだけでなく、どのような記録を打ち立ててナンバーワンになるか?という期待を込めて作られたウィル・スミスの為の作品といえる。陸上でいえばコーチ、スタッフだけでなくシューズ、ウェア、さらに気温や風向きをも計算しつくした特別コースでの競技である。だから観客はレース展開そのものというより、ウィル・スミスのパフォーマンスに注目する事になる。北京オリンピックのボルト選手。競馬で言えばディープインパクトのレースを最高のコンディションの中で観戦するようなものである。
また彼が演じる主人公ジョン・ハンコックという名前からして凄い。ジョン・ハンコックといえばアメリカの政治家で、アメリカ独立宣言に最初に署名した人であり、マサチューセッツ州の初代知事としても有名。その名はアメリカ海軍の航空母艦をはじめ、地名にもなっている。またマサチューセッツ州はレキシントン・コンコードの戦い、バンカーヒルの戦い、ボストン包囲戦など、アメリカ独立戦争時の有名な戦いが行われた土地であり、そのような経緯からジョン・ハンコックは、ボストンの黒人軍隊に軍隊旗を送ったという記録がある。
話がウィル・スミスから離れてしまったが、今や政治から裏社会、スポーツ、エンターテイメントに至るまで、もはや"アメリカ"の象徴といえば黒人達・・・。そんな中、アメリカンコミックの過去のヒーロー達が次々と実写映画化されるも、黒人のヒーローは数すくない(イメージ・コミックのスポーンは黒人だが)。そして今回2008年仕様として新たに書かれた映画オリジナル脚本中でのアメリカンヒーローは、アメリカ大統領選のオバマ氏同様、白人ではなく黒人なのである。ちなみに作品中でハンコックがかぶっているニット帽にはデカデカとアメリカを象徴する鷲の刺繍が施されている。そんな事から、まるでハンコックのごとく傲慢なふるまいで評判が落ちてしまったアメリカが、かつて独立戦争時に貢献したジョン・ハンコックの名前と近年のブラックパワーの力を借りて「たまには暴走してやりすぎちゃう事もありました・・・・・とはいえハンコックも必要なんです・・・・・だから大統領も変わりこれからは世界のために・・・・・」とPRにもならないPRをしているようでなんとも可笑しい。ともあれウィル・スミスは『インデペンデンス・デイ』しかり、アメリカエンタメ界の特殊PR部隊のようである。このまま行くとアメリカ国民は独立記念日の日に大統領ではなくウィル・スミスの顔を思い出すのではないか(笑)?
この作品、ストーリーはともかく設定は面白い。なんといっても道徳感の欠如はなはだしい酔いどれ超能力者の役どころもウィル・スミスにピッタリだし、NYではなくLAが舞台というのも彼らしい(アイ・アム・レジェンドではNYだったが)・・・。何かのインタビュー記事でヒロイン役のアカデミー女優、シャーリーズ・セロンが作品の見所を聞かれ「見所?ウィル・スミスに決まってるでしょ!他に何があるの?」と語っていたのを読んで思わず笑ってしまったが、何からなにまでもが"ウィル仕様"である事を監督から共演者に至るまで誰もが理解し、国際大会でウィルが大記録を出すために万全を期して作られた映画なのだから、まずは興行的に金メダルをとる事は当たり前で、後はどれだけの数字を延ばせるかが重要である。話題作りとしてハリウッドの大スター達を何人も共演をさせる方法もあるが(規模は違うが日本の『20世紀少年』はこのパターン)、分散させず確実に金メダルのとれるウィル・スミス一人に焦点を絞ったのは正解だと思う(出演料とその他制作・販促費のバランスも含め)。また見る側としては、シャーリーズ・セロン語るところの”見所”が一点に集中するからわかりやすい。だから劇場用トレーラー(予告編)の出来もいい!
また近年では「あまりにも見せすぎ」と賛否両論の劇場用トレーラー(予告編)だが、この『ハンコック』に関しては大記録を打ち立てる目的への手段としてパーフェクトな出来のトレーラーといえる(ご覧になりたい方は公式ホームページをご覧ください)。特にアメコミヒーローもののトレーラーは少々マンネリ気味なのだが、この『ハンコック』のトレーラーからはそれでも「観てみたい」と思えるようなワクワク感を感じた。それだけの出来だからこそ、実際に内容を見て違和感を感じた人は「ものすごく騙された!」という気分になる事もあるだろうが、ともあれ内容は別としてこの時点で金メダルは確定。あとは記録だけである。
(ウィル・スミス前人未踏の主演8作品連続1億ドル越え↓)
『ハンコック』(08) 『アイ・アム・レジェンド』(07) 『幸せのちから』(06)
『最後の恋のはじめ方』(05) 『アイ,ロボット』(04) 『シャーク・テイル』(声/04)
『バッドボーイズ2バッド』(03) 『メン・イン・ブラック2』(02)
※ちなみにトム・クルーズ、トム・ハンクスは連続7作品でストップ
さて観賞後の感想だが、たとえば10点満点中、トレーラーが100点なら作品自体はせいぜい60点ぐらいが正直なところ・・・。こんな事をいうと「ほらいわんこっちゃない最近のアクション映画なんてそんなものなんだよ!予告編でいいとこころを全部ながしちゃうんだから・・・」と言われてしまいそうだが、いやいや今回はそういった類ではないのである。私だってそんな事ぐらい承知の上で、最悪、トレーラーを全部繋げただけでもそこそこ面白いんじゃないのか・・・?と予想立てまでした上で観賞したのである。結果、そうした部分ではなく、途中から話が思いもよらぬ方向に転換してしまい、戸惑っているうちに、何がしたいのかよくわからなくなってしまったのである・・・。たとえがひどいかもしれないが、野球の試合を観に来たら6回裏終了時点で4対5の接戦。さてこれからどうなるのかと一息入れる。グランド整備のため一旦選手がベンチに引っ込む。するとチアリーダー達の応援合戦が始まった。ぼーっとみていたらこれが意外と長く続いている。そのまま応援合戦が延々と続くが選手達がグランドに戻ってくる気配が無い。終わってみればなんとそのまま試合終了・・・。というちょっとあっけにとられる内容である・・・。
トレーラーのイメージに近い前半部分はテンポもよくウィル・スミス起用が見事にはまっている。新作紹介やテレビCMで何度も観たあのシーンも、なかなか面白い展開で使われ、いい意味で「ああこういうこと」とも感じられる。問題は6回の攻防が終わってからの後半である。詳しくは書けないが「予想だにしない」という点だけでいえばその通りであるが、ただ個人的にはそれは悪い意味でしか捕らえることが出来ない・・・。
しかしウィル・スミスのパワーを持ってすれば、前半の展開、後半の展開のどちらかを深くほりさげればそれなりの着地ができるように思えるのだが、何故まったく異なる2つ話を無理矢理くっつけてしまうような手法をとったのだろう?とにかく、前半と後半の展開のギャップを"おいおい"ととらえるか"予想だにせぬ"ととらえるかで評価は大きく分かれるところだろう。
投稿者 pawanavi : 2008年09月08日 19:43
