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2008年09月05日

20世紀少年

原題:20世紀少年
(2008年/日 142分 カラー)
配給:東宝
監督:堤幸 彦
原作:浦沢直樹(『20世紀少年』小学館ビッグスピリッツコミックス刊)
脚本:福田靖、長崎尚志、浦沢直樹、渡辺雄介
音楽:白井良明
主題歌: T.REX「20th Century Boy」
出演:唐沢寿明、豊川悦司、常盤貴子、香川照之、石塚英彦、
宇梶剛士、宮迫博之、佐野史郎、ベンガル、石井トミコ、研ナオコ、
竜雷太、吉行和子、石橋蓮司、中村嘉葎雄、黒木瞳、その他多数の芸能人。
☆ラゾーナ川崎プラザ 109シネマズ にて観賞

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◆パワナビ松田 レビュー

お気に入り評価: 20点/100点満点

 世界各地で次々と全身から血を流して人が死んでいくという奇妙な事件が起こる20世紀末。主人公ケンヂ(唐沢寿明)は失踪してしまった姉の娘の面倒を見つつ、母親と共に細々とコンビニを経営し平凡な日々を過ごしていたが、幼馴染の不自然な死をきっかけに、彼の人生は大きく変わっていく事になる・・・。何故なら現在世界各地で起こっている怪事件の数々は、ケンヂが小学生だった頃に仲間達と遊びで描いた「悪の組織が世界を滅ぼす」という“よげんの書”の内容通りに進んでいるからだ。計画を実行に移している中心人物は“よげんの書”を知っている人間としか考えられない・・・どうやら幼馴染の死も関係しているらしい・・・。そこでケンヂはかつての仲間達と共に過去の記憶を探り“よげんの書”に描かれた”悪の組織”を操る人物を探し始める。やがてケンヂらは、組織は“ともだち”と呼ばれる男を頂点にした教団で、怪事件の黒幕もこの教団がからんでいる事を突き止める。さらに2000年の大晦日、巨大ロボットによる細菌兵器の散布というとてつもない計画が進行している事を知る。ケンヂとかつての仲間達は着々と進行する人類滅亡計画を阻止するために立ち上がるのだが・・・。

 言わずと知れた浦沢直樹原作による大人気コミック『20世紀少年』(小学館ビッグスピリッツコミックス刊)の実写映画作品全3部の中の第1章である。原作者の浦沢直樹はこの作品で脚本も手がけている。また監督の堤幸彦はテレビディレクターとしても有名で、テレビドラマでは『サイコメトラーEIJI』『金田一少年の事件簿』『ケイゾク』『トリック』『世界の中心で、愛をさけぶ』『スシ王子!』をはじめ、CMやプロモ、舞台製作など幅広く活躍している。映画監督としても前記の『ケイゾク』『トリック』の映画版や、近年では『大帝の剣』『銀幕版 スシ王子! 〜ニューヨークへ行く〜』など、とにかく、テレビにせよ映画にせよ、いちいち上げていられないほど数多くの作品を手がけていることから、業界でもかなり顔が広い。この実写映画『20世紀少年』には約300人の有名人が出演しているらしいが、堤幸彦の経歴・人脈をもってすれば出演依頼もきっとスムーズだったと思われる。

 さてこの作品の感想だが、感想もなにも私個人的には、終始かなりの違和感を感じつつ観賞していた。何故なら、あまりにも多くの芸能人が顔を出しすぎていて、まるで島田しんすけと島崎和歌子が司会をしている、TBSが番組編成期に流す”あの芸能人だらけのクイズ番組”を見ているようだったからである。もちろんどんなにチョイ役でも出演してもらうからには当然一瞬であってもスポットを当てなければならず、そのためにストーリー上は淡々とやり過ごす場面であっても、いちいち意味の無いカットでつまずくのがなんとももどかしい・・・。何故『20世紀少年』を題材に、わざわざこのような芸能人の垂れ流しをしなくてはならにのかがわからない?もっとも最近のテレビ番組はなにかにつけてコメンテーター、パネラーと称し、小さな画面にお笑いタレントから政治評論家にスポーツ選手、果てはグラビアアイドルまでぎっしり詰め込んでクイズ形式で間を持たせる、安っぽいバンキングコースのような作りばかりが目立つが、そんなのはテレビ番組だけで充分である・・・。しつこいようだが何故それが『20世紀少年』で必要だったのだろうか?

 確かに表面的(絵的)には、漫画のキャラクターに近いキャスティングをしたり、漫画の一場面(ひとコマ)を意識した描写など、いかにも原作を意識したように見えるが、印象に残るのは右をみても左を向いても有名芸能人だらけという、大晦日の12時間長編テレビドラマのようである。まあ題材が『忠臣蔵』や『新撰組』、または『大奥スペシャル』といったテレビ局のパーティー的プログラムなら理解もできるが、映画で、それも『20世紀少年』が題材とはあまりにも無理矢理で物凄く疲れるし気持ちが悪い。もちろん決して唐沢寿明や豊川悦司、常盤貴子がダメダメということではなく、だんだん誰が誰でもどうでもよくなってしまうのである・・・。そんなことから私個人的には”テレビ的芸能人祭り”が頭から離れず作品に集中できなかったというのが正直なところである・・・。せっかくの『20世紀少年』の映画化だが、作品から何かを感じ取ろうとする前に、制作費60億円のナンパーセントが出演料なのか?といった下衆な思いが先に立ってしまうのが悲しい・・・。逆に言えば”芸能人てんこ盛り”が好きな方にはこれほど嬉しいプレゼントはないだろう。あるインタビュー記事で、唐沢寿明がこのオールスター夢の共演を『オーシャンズ11,12,13シリーズ』にたとえて語っていたが、意味がまるで違うし、この原作そのものがゴージャスな芸能人祭りに向いているとは到底思えない。私も原作を読んでいるが、受け取り方としては「あっ!あのシーンって漫画のあのコマと同じだ!」といった、長編漫画を豪華キャストの実写ダイジェスト版でお楽しみください・・・といったようなところしか思いつかない。そんなことから、絶対とは言わないが、もし観賞前であれば原作を読んでおいたほうが無難と言える。

 原作者である浦沢直樹は大人のファンも多く、私も好きな漫画家である。『YAWARA!』『Happy!』といった子どもも楽しめるスポーツ少女ものもいいが、『MASTERキートン』『MONSTER』『PLUTO』といった日本以外の土地が舞台となる作品はまるで映画をみているような錯覚に陥ってしまうから凄い(中でも個人的には日本人が主人公で舞台が海外という『MASTERキートン』が好き)。特に外国人達の表情の描き方が印象的である。ある意味あの表情を実写で再現するのは無理といえる。その画風は少年誌にありがちな、いかにも漫画チックで強烈なキャラクター達がド派手でゴチャゴチャした背景の中を動き回るものとは正反対で、隙間や空白、陰影などが実写映画以上に映画っぽく、漫画でありながら、ある部分では実写映画を越えた漫画といえる。だから漫画の実写化に関しては、一見するとアメリカンコミックのヒーローのように極端なキャラクターや現実離れした世界観を実写化する事のほうが大変そうに感じられるが、CGの技術が発達した今となっては、そちらのほうが力技でどうにかなってしまう分、料理しやすいのではないかと思う。それに比べ、浦沢直樹や大友克洋(『童夢』『AKIRA』)などが描く、完成された独特の漫画世界を説得力のある実写にし、それを越えるのは非常に難しい・・・動かすのであればアニメが精一杯だろう。特に浦沢直樹や大友克洋などは、漫画界だけでなく実写を撮る側の人間がその世界観に影響されたり、彼らの漫画のひとコマからカメラアングルや見せ方などを参考にしたりするぐらいなのだから・・・。それでもこの作品は、回想シーンから現代のシーン、さらに原作のキャラクターにそっくりな人間をキャスティングするなど頑張っており、一瞬「おっ」と思えるような場面もあるのだが、結局最後は無謀ともいえる豪華キャストでごまかしてしまったように感じられるのが悲しい。

 ともあれ登場人物の名前(ニックネーム)や昭和40年前後の背景からしても40代~50代にとっては思い出てんこ盛りのような漫画だから、きっと製作現場はそうした年代のスタッフ達が、自分達の子どもの頃を思い起こしつつ、ウキウキしていたのではないだろうか?また「あの漫画のあのコマを実写化してやったぞ!」「このシーンでT.REXの20th Century Boyをかき鳴らせばノックアウトでしょ!」というYouTubeにアップするようなマニア的盛り上がりは想像できなくもない。それにしても、監督が・・・とか、構成が・・・、脚本が・・・などと考える前に、そもそも『20世紀少年』という題材が、60億円の制作費と300人の有名人を使ってお祭り騒ぎするようなネタではないと思うのだが・・・。浦沢直樹ファンの私としては残念だが今回はそこにつきる。

投稿者 pawanavi : 2008年09月05日 13:59

コメント

パワナビ藤木 レビュー

評価:10点満点中 4点

TOHOシネマズ光の森にて観賞


小説にしろ漫画にしろ原作を越えるのは難しいですよね。過去にも大友克洋さんの『AKIRA』や宮崎駿さんの『風の谷のナウシカ』が映画化されましたが(私が観たのはビデオでですが)、原作の漫画(風の谷のナウシカはワイド版)の方を先に見ていたので観終わったときに、「えっ、これだけ…」。という失望感がありました。原作のスケールが大きすぎて二時間ほどの映画の尺ではたりないのです。

『20世紀少年』は3部作といえども、それを実写でつくるのだから、さらに困難だろうな~と思っていました。そういう意味では予想に反して、見事に原作を実写化できているように思います。ただ、忠実であれば忠実であるほど先が読めてしまうので未知のものに遭遇するという期待感が薄れてしまうという別の問題が…(っていう心境のときに、多くの芸能人がでてくるためにそのことに意識が飛んでしまうのが残念)。

私にとっては原作そのもののストーリーの理解も結構難しかったのですが、はたして原作を読んでいない人が映画だけをみてストーリーを理解できるのだろうかという素朴な疑問もおこりました。ちょっと、きいてみたいですね。もしかしたら(きっと)、そっちのほうが素直にストーリーに入っていけて面白いのかもしれません。海外の人がどういう風に受け止めるかも気になるところです。

主役の唐沢寿明さんは、かっこいいです。役柄もあっています(ああ、こうなりたい)。ただめまぐるしくストーリーが展開していくために、全体的に一つひとつの描写に物足りなさを感じました。終始、ペースが同じなのでスナック菓子を食べているような感じ。前菜やメインデッシュがぼやけているというか、味が足りないというか…。

とはいえ、まだ3部作の1部目なので、今後に期待します。という期待をこめて今回は辛口の4点です。

投稿者 テツロー : 2008年09月07日 10:08

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