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2007年10月29日
アメ横のチョコレート
☆パワナビ松田
最近、仕事及びプレイベートで故郷である横浜に帰る事が多い・・・。先週も約1週間ほど実家に滞在し、横浜や都内を歩きまわった。
何日目か?古い友人と徒歩で六本木通りを西麻布から六本木方面へと向かっていた時のことである。彼は突然、私の顔をまじまじと眺めると「チョコレートを買いに行きたい」と言い出した。その友人は学生の頃からチョコレートだけは欠かしたことがないという大のチョコ好きだ。とりあえず、無性にチョコレートが食べたくなったので、その辺のコンビニか、場所が場所だけに近辺にある、お洒落なチョコレートショップにでもいくのだろう。そう踏んで曖昧な返事をし、とりあえず後についていった。
ヒルズのあたりで友人の歩く速度がおちた・・・。右手に東京メトロの看板が見えた。すると友人は勢いよく地下鉄日比谷線の六本木駅切符売り場に続く地下道の階段を勢いよく降りだした。
「どこまでいくんだよ」と聞いてみる。
「俺のお気に入りのチョコレート屋まで」とやけに嬉しそう。
「チョコなんか何処だって買えるじゃないか」
「いや、そこらの店とは訳がちがうんだよ、お前と一緒なら新記録が樹立できるかもしれないからな」
「新記録って・・・なにかやらされるのか?」
「まあ、だまってついてきなって」
結局、六本木駅で日比谷線に飛び乗り、日比谷駅で下車、さらに徒歩で有楽町駅に向かいJR山手線に乗った。平日の午後だけに乗車客はそれほど多くはないが、宮崎に比べればかなり多い・・・。直ぐに東京が小さくなった。次は神田・・・果たして何処までいくのだろう・・・。車内アナウンスが「御徒町」を告げると同時に友人が動いた。
「御徒町」といえば当然「アメ横」である。細い路地を行き交う観光客をかきわけ、上野方面に向かった。ビジネスマンスーツに黒いバッグを肩からかけたサラリーマンが、ブランドショップの前で女性用のバッグを吟味している。日本人ではないアジア人がパチンコ屋から出てきた・・・。老夫婦が孫にでっかいおもちゃを買っている。心の中で「わざわざこんなところまでこなくても・・・」と愚痴っていると「よしついたぞ」と友人がつぶやいた。上野駅の切れ端がちらほら目に入る付近だ。とうぜん周りをみても、自分が勝手にイメージしていたようなお洒落なチョコレートショップなど何処にもない。ただ目の前には、高く積み上げられたチョコレートの山の上に、ひときわ高い位置から、まるでバナナの叩き売りのような兄ちゃんが威勢のいい声を張り上げチョコを売っている姿があるだけだ・・・。「チョコ屋って、ここかよ・・・ただの叩き売りじゃないか」としばし呆然。
「よし、新記録を作るぞ」とワクワクした表情の友人が「さあ」とせきたてる。訳も分からず、横にくっついて、威勢のいい兄ちゃんの前に2人で歩み出た。
「兄ちゃんこのチョコ1,000円分ちょうだい」と1枚の札を渡す友人!
「ハイ、お客様ありがとうございます。1枚~い、2枚~い」兄ちゃんがダミ声を発する。
しかし、これが意外と名調子に聞こえる。周りにいた観光客も楽しそうにこちらを振り返る。
「兄ちゃん今日はおまけないの?」と友人がおねだりしている。
「おっ、そういえば今月末はハロウィンだったっけね!じゃあコレをつけちゃおう」
と、叩き売りの兄ちゃんは、オレンジ色をしたカボチャのキャラクターがついたスティックタイプのチョコレートをくれた。
「ああこういうサーヴィスがあるんだ・・・」と納得し私は踵をかえし「それにしても、わざわざ来るほどのことじゃ・・・」と心の中でつぶやき、先ほどの駅に向かおうとした。しかし、友人はまだ引き下がらない。納得のいかない表情で兄ちゃんをにらみつける。「おい早くいこうぜ」と声をかけようとすると・・・。
「ハイハイ、わかりましたよ。じゃあお家のお子ちゃまに、コレとコレをつけちゃうから持って帰ってちょうだい。今日はこれで我慢ね!」
と、子ども向けのチョコレートを2袋入れてくれた。しかし、それでも友人は引き下がらない、やっと友人は、兄ちゃんから私のほうに視線を向けた。その目は、出来たばかりの魔球をやっと試す時が来たといわんばかりに、静かに燃えていた。今日の彼にとって、私はとっておきの切り札らしい。
「こいつ、今話題の宮崎から来てんだけど!」というと、その兄ちゃんは「ようこそ」と言わんばかりに、目玉を見開き、「遠いところからワザワザありがとうございます、知事の頑張りに免じて、さらにコレをつけちゃいます」と、板チョコを2枚ほど詰め込んでくれた。この気前のよさには、私だけでなく、観光客達からも笑顔がこぼれた。さらに、
「あれあれ?宮崎の旦那・・・よく見りゃあんた、ナイナイの岡村さんそっくりじゃないの」
友人は、こちらから誘導せずとも、その事に気づいた、叩き売りの兄ちゃんの鋭さに満足していた。周りにいた観光客達がこっちを振り返る。「そういえば」という目つきのおばちゃん達。隣の仲間に耳打ちしながら勝手にうなずいている・・・。こんな時よく見る光景・・・もうなれっこだ。とはいえ、コレだけ観光客がいるのだから、出来れば、はやくココから逃げ出したい。「俺は見世物じゃない」しかし、兄ちゃんは私の心など無視し、容赦なく
「それじゃぁ、岡村さんのご来店を祝して、コレもコレも・・・もう大サーヴィス!」
と大声でさけび、さらにボックスタイプのクッキー&チョコレートを何箱か入れてくれた。もう袋はパンパンだ。なぜか?周りにいたおばちゃん達が自分の事のように喜ぶ。
「ちょっと勘弁してくれよ」と泣きつくような目で友人を見た。「もう俺は充分役にたったじゃないか」しかし、友人はあきらめない・・・さらにこうまくし立てた。
「こいつ確かに岡村に似てるけど、そんじょそこらのそっくりさんと一緒にすんなよ!半端じゃないぞ!この前、飲み屋でしつこくサインをせがまれて、断るの苦労したんだから!」
と出来る限りのアピールをする。はっきりいって、このやり取りに深い意味なんてなにもない。それでも叩き売りの兄ちゃんは、満面の笑みで、
「そうですか、そうですか、それでは宮崎の岡村さん、どうぞうちの店をごひいきにということで、コレと、コレと・・・・・・・」
そして観光客達から喝采を浴び、この日のショータイムは終わった。客と店との完全アドリブ勝負に友人は勝ったのだ。「もってけ泥棒」そんな気持ちのいいセリフを思い出しつつ友人に目をやると、パンパンになった大きな袋を嬉しそうに抱きかかえ「だから言っただろ、今日は新記録がでそうな予感がしたんだ」と、訳のわからない達成感に酔いしれていた。
「お気に入りってぐらいだからよく行くんだろ」おざなりに聞いた。
「たまにな・・・あそこで買うのが気持ちいいんだよ。くだらないアーティストライブなんか観にいくよりよっぽどエネルギッシュで面白いぞ!今日はお前のおかげでコレだけの収穫があったけど、ダメな時はからっきしだ。今日はあの兄ちゃん心意気がビシッと伝わってきたぜ!」
「まったく訳わかんないよな・・・」
「いや、あの兄ちゃんなら、俺がお前をワザワザ連れて来た事に敏感に反応してくれんじゃないかって・・・ちょっと試してみたくなったんだ。ただ意味もなくフラ~っと連れてくる・・・。何で連れてきたのか・・・?でも、あの兄ちゃんはちゃんと俺を立ててくれた。そういう感覚に敏感だから人が集まってくんのさ!言っとくけど岡村に似てたのなんて、どうでもいいことで、おまけのまたおまけのようなものなんだ!だから今度は俺がたっぷりと、今日の何倍もチョコレートを買ってチャラにしてやるんだ。あの兄ちゃん喜ぶだろうな」
「どうでもいいけど、チョコ2箱くれない?俺の取り分だから」
「わりい、わりい、すっかり忘れてた」
私といえば、かなり恥ずかしい思いをしたが、アメ横ならではのヒューマンエネルギーを肌で感じ、少しだけ嬉しい気分になった。「わざわざ電車に乗ってまで行く価値」それを作り出すのは人・・・。人が人を呼ぶということを久々に実感できた。
投稿者 pawanavi : 2007年10月29日 18:15
コメント
なんて素敵なチョコ屋さん(*≧∀≦)
行ってみたい!そのチョコ屋さん!
お兄さんとの勝負|*´∀`)ノ*★*ワクワク
投稿者 ぴゅあ : 2007年11月12日 20:44
