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2007年03月28日
実写でアニメ越え!
☆パワナビ松田
最近は日米を問わずアニメ、もしくは漫画の実写リメイクを見かける事が非常に多いのだが、ほとんどの作品が期待ハズレである。元となる、アニメや漫画のマニアックなファンならいざ知らず、そうでない視点からみても、ガッカリさせられる事のほうが多い・・・。それでは、実写がアニメや漫画で感じたカッコよさやハラハラ&ドキドキ感を完全に越えてしまった例は何か?と思い出して見ると、映画やドラマではない意外なところにあった・・・。
実は先日、インターネットで様々な動画を検索していたところ、自分が学生時代にリアルタイムで見ていた、プロレス番組(新日本プロレス)のプログラムが見つかり、懐かしくなってしばし観賞していると、佐山 聡が初代タイガーマスクとしてリングに上がったデビュー戦(1981年4月23日蔵前国技館・対ダイナマイト・キッド戦)が流れ始めた・・・。今でこそプロレスでは定番となっているアクロバティックな動きも、当時は度肝を抜かれるほど画期的なパフォーマンスで、さらに、このデビュー戦の相手ダイナマイト・キッドもスピーディーかつパワフルな動きや、絶妙な間のとりかたをすることから、通常の新人レスラーのデビュー戦とは、まったくレベルの違う凄い試合を魅せられた。当然、学生だった私はかなりの興奮状態に陥ってしまい、「こんな気持ちになるのは俺だけか?」などと勝手に思っていたら、同じような興奮に陥った少年達(大人も)が実に多かったようで、デビュー戦が放映された翌日の学校での男子の話題は前日のタイガー(今はウッズかもしれないが・・・)でもちきりだった事はゆうまでもない。
もちろん、私も当時この試合をテレビ中継でみていたのだが、実は、はじめから佐山タイガーをカッコいいと思ったわけではない。初めてみた入場行進時のタイガーは、マスクデザインもお粗末で、誰もが知っている後の立体感のある美しいものとは違い、耳も小さくペチャっとしており、質感も最悪・・・見るものに"いかにもチープな印象"を与える、はっきり言って"ダサい"ものだった・・・。一方相手のダイナマイト・キッドは、当時のレスラーの中では小柄だったが、ものすごい筋肉質の引締まった肉体(今は当時のステロイドの影響で大変な事になっているらしい・・・)をもっており、まるで彫刻のように見えた事から、子どもながらに「タイガーマスクっていわれても・・・いったい何の冗談だろう?」と思ってしまった。タイガーマスクに関してはアニメはもとより、漫画も読んでいたので、はっきり言ってカッコ悪くみえて当然である。後に佐山 聡自信も「あの仕上がりにはガッカリした」と言っていたようである・・・。
しかし、そんなわだかまりも試合が始まって直ぐにぶっ飛んでしまった・・・。佐山 聡が持つ天性の運動能力とセンスに、実践的な打撃系の技が加わることで、技の完成度のみならず、緊張感が高まり、知らず知らずのうちに試合に引き込まれてしまった。気がつけば入場時の"ダサい"タイガーのルックスなど見事に忘れ、タイガーの華麗な動き(ダイナマイト・キッドも)に魅了されてしまった自分がいた・・・。佐山からすれば、まずルックスにハンデがあったわけで、ルックスのマイナスまでパフォーマンスでカバーしなければならなかったのだから、さぞかしプレッシャーがかかったことであろう。結局、見事にそれをやってのけてしまった佐山タイガーの独特のパフォーマンスを、当時の実況を担当していた古舘伊知郎 は「四次元プロレス」とか「四次元殺法」などと呼び、プロレスファンの間では流行語にもなったが、とくにデビュー戦の最後に見られる、ロープ際でのジャーマンは美しく(今見ても新鮮である)、他の選手のそれとは違う、佐山 聡の基礎体力の素晴らしさとセンスのよさがうかがえる職人芸と呼べる技である・・・。そしてなにより、タイガーの試合は常にスリリングでドラマチックだった。が、しかし、絵ズラばかりがよかったわけではなく、彼のパフォーマンスにはしっかりとした"主張"が込められていた。それは「四次元プロレス」がその後のプロレス業界に、あらゆる意味で大きな影響を与える事になるのだから、タイガーマスクが単なるヴィジュアルヒーローではない事がわかる・・・。ここまで、くると、誰もアニメや漫画のタイガーマスクと比べるような思考をもたなくなるから不思議だ・・・。もしかしたら、映画もドラマも、アニメや漫画を追いかけ「あのシーンを再現したい」と思っているうちは、いつになっても追い越せないのかもしれない。たとえ、はじめはコアなファンから「アニメと違う!」とブーイングがあったとしても、原作を討ち破るオリジナリティや意気込みが無ければ、リメイクは物真似大会の域を脱しないのかもしれない・・・。しかし大よそが、そのオリジナリティへの挑戦で返り討ちにあい、最後は煮詰まってしまって、結局どっちつかずの中途半端になってしまうのだろう・・・。そんな事から、アニメ→実写でなくとも、リメイクは非常に難しいはずなのに、もとネタの欠如からか?現在はこれが大流行なのである・・・。ただ、音楽でいえば、クラシックやジャズの世界のように、○○さんによる○○が観たいという、スタンダードになりえるものが題材なら、た話は別だろう。忠臣蔵や新撰組などはそれにあたるかもしれないが、事、アニメや漫画に関してはどうだろう・・・?
そんな事から、佐山タイガーの活躍と同時期に「タイガーマスク二世」(漫画版の続編)というアニメがテレ朝系で毎週放映されていたが、この時ばかりは、まさに"大人"も"子ども"も、アニメより、むしろ実写のリアルタイガーを毎週心待ちにしていた・・・。しかしアニメの人間離れした動きよりも、動きに制限のあるリアルな世界に夢を見た人が多かったのはどういうことだろう?裏を返せば、当時の佐山タイガーは肉体一つで多くの人々に夢を与えていた事になる。「肉体一つで夢を・・・」という事であれば、パフォーマンスを演じる場は違えど、まさに同じ東洋人であるブルース・リーのそれに近づいたのかもしれない(ジャッキー・チェンとはちょっと違うと思う)・・・。そして、いつの間にかタイガーマスクのマスクにも美しい装飾が施され、耳も大きく"ピン"と立ち上がり、マントも誇らしげになびいていた。そして、このタイガー登場後は、"タイガーマスク"といえば、本家の漫画・アニメをイメージするより、佐山タイガーをイメージする人の方が多くなったのだから、佐山 聡は完全にアニメ越えを成し遂げたと言っても過言ではない。さらに凄いのは、タイガーマスクを企画した新日側も、まさかアントニオ猪木を凌ぐ人気になるとは思わなかっただろう・・・・・きっと、ある一時期だけは、アントニオ猪木越えも果たしたのではないだろうか?まあ、どちらかといえばアニメ越えよりも、むしろ猪木越えのほうが難しいかもしれない・・・。何を隠そう私も学生のころは、たった5分~10分しか与えられない貴重な休み時間を利用し、卍固めやコブラツイストではなく、うまくできないくせに「四次元殺法」を練習し、放課後になると体育で使うフカフカのマットの横に平均台を置いて、アントニオ猪木ではなくタイガーマスクになろうとしていた・・・私だけでなく、みんなしていた・・・。卍固めやコブラツイスト、さらに言えばインデアンデストロックはどうにかできるが、ローリングソバットやラウンディングボディプレスはそうそうできるものではない、「俺にもあんな事ができたらいいのに・・・」という夢があり、また単純にカッコいいからである。
そういえばデビュー戦の解説で笑ってしまった部分がある。半ばタイガーが佐山だと言うことを知っているファンもいる中、「空手やムエタイのような動きが見られますし、肌の色からして東洋人だとおもわれますが・・・」といった、白々しい解説者のコメントは今聞くと思わず噴出してしまう。
ということで、私の個人的な記憶の中で"アニメ"や"漫画"を越えたと思われる実写例は、映画やドラマ作品ではなく、プロレスというリアルな世界で活躍したタイガーマスクが連想されるのだが・・・・・さて、皆さんはどのようなリアルヒーロー&ヒロインがアニメ越えをしたと感じられるのだろうか?また、このタイガーマスクのように、映画やドラマでの実写リメイクではなく、漫画の世界をリアルな世界に持ってきたほうが成功しやすいとお思いだろうか?
投稿者 pawanavi : 2007年03月28日 14:37
